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民主政権は「旗印絞れ」 細川元首相インタビュー(1/6ページ)

2009年8月9日3時5分

写真:細川護熙さん=鈴木好之撮影細川護熙さん=鈴木好之撮影

 1993年、初めて「非自民」政権をつくった細川護熙元首相が朝日新聞社のインタビューに応じ、当時の内幕を明かしつつ政権交代に向けた提言を語った。民主党政権が誕生するならこれまでの政治との断絶がその主眼であり、新政権には旗印――目標を絞って政権運営を進めるよう、自民党には健全野党の役割を自覚するよう求めた。「政権交代政治」定着へのカギはそこにあるとの考えだ。

 細川氏は98年の政界引退後は陶芸などにいそしみ、政治へのかかわりを避けてきた。初めて詳細な問答に臨み、細川政権の経験と教訓、日本政治への期待を吐露した。

 細川氏は、自民党政権の宮沢喜一氏との「首相の引き継ぎ」の内容を明かし、憲法や安全保障への抑制した考えで共通していることを確かめ、その後も宮沢氏が折に触れ助言してくれたと語った。

 だが自民党はその後、政権奪回の政争に走り、細川氏も「打倒自民党」に傾いた。今回、政権交代があるとすれば、「自民党が健全野党になって初めて、日本の政治はいい形になる」と提唱した。

 細川政権のキーパーソンだった小沢一郎氏は「権力の強さも脆(もろ)さも知っているリアリストだ」とし、「慎重だがやるときはすぱっとやる。わがままなところもありますが」などと論評した。

 突然持ち出して失敗した7%の「国民福祉税」については「内閣支持率の高さを利用しようという大蔵省の魂胆があった。霞が関が(小沢氏を含む)与党代表者会議と一体になって攻めてきた」と証言。ただ、民主党の「官僚支配の打破」の主張には「官僚機構を使いこなさないと政権は成り立たない。官僚退治は愚の骨頂」と疑問を呈した。

 さらに民主党政権誕生を念頭に「ひとつの内閣で何もかもいっぺんにはできない。限られた目標と期限を明確にして、断固やるかどうかだ。民主党は大丈夫か」と注文をつけた。

 細川氏はもともと二大政党制でなく「穏健な多党制」が持論で、「大きな政党は総花的なテーマを掲げざるを得ない。それでは政治は進まない」と述べ、民主党の提唱する衆院の比例区削減には明確に反対した。(本社コラムニスト・早野透)

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