最終更新: 2009/08/09 03:12

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グルジア紛争から1年 火種を抱えたままの危険地帯の今を追いました。

グルジア紛争から1年、オバマ政権に交代し、米ロ関係に変化が見られる中、火種を抱えたままの危険地帯の今を追いました。

2008年8月8日に開幕となった北京五輪。
この平和の祭典、オリンピック開幕の陰で、ロシア連邦の南部カフカス地方グルジアで武力紛争が火を噴いた。
2009年7月、グルジアをアメリカのバイデン副大統領が訪問した。
親欧米路線によって、ロシア離れを加速するグルジアのサーカシビリ大統領は、「われわれは『友人』とともに、絶対降伏しないということを世界は理解することが重要」と述べた。
グルジア内でロシアへの依存を強めていた地域、南オセチアをめぐり、グルジア軍とロシア軍が戦ったあの紛争の緊張が今、再び高まっている。
2008年の紛争後、アメリカのブッシュ政権は、人道支援名目で駆逐艦などをグルジアに派遣した。
これに対し、ロシアのメドベージェフ大統領は2008年9月6日、「(アメリカは)人道支援の旗の下で、グルジアの武装化を手助けしている」と述べた。
ロシアの反発に対して、2009年初めに就任したオバマ大統領は、米ロ関係の正常化をうたった。
しかし一方で、NATO(北大西洋条約機構)は、5月にグルジアで「合同軍事演習」を行っている。
軍事評論家の宇垣大成氏は「実際、アメリカやNATOは、グルジアへの関与を深めています。映像でも確認できますが、グルジア兵の野戦服や装備の一部が、すでにアメリカ軍供与のものに変わっています。これはグルジア軍をアメリカ・西側の軍のシステムに取り込もうとする動きとしては、他の国の場合よりもかなり速いペースで進んでいると言えます」と話した。
こうした動きに、翌6月には、今度は旧ソ連崩壊後、最大規模といわれる軍事演習をロシアがグルジア周辺で実施した。
高まる緊張で7月には、グルジアと南オセチアの境界線が封鎖される事態となった。
青山学院大学の寺谷弘壬名誉教授は「あらゆる手段を使って、グルジアを取り込んでおきたいと、これがロシアの狙いですね」と話した。
寺谷氏によれば、現在、ロシア側はグルジア内で反サーカシビリの動きを支援するなど、その親欧米派を切り崩す動きを活発化させているという。
実は、ロシアがグルジアにこだわる重要な理由がもう1つあるという。
寺谷氏は「(ロシア連邦から)グルジアが外れると、ウクライナも外れやすいわけですよね。あるいは、その先のモルドバも離れつつあるんですね。そういうところが離れていって、経済的な利権も失っていくと」と話した。
グルジアの「離反」は、ウクライナやモルドバといったロシア勢力圏内にある国の「離反」がドミノ現象のように起こり、つながっていくという。
混迷を深めるグルジア問題。
ロシアが次に取る行動が注目される。

(08/08 02:11)


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