県医師会の政治団体「県医師連盟」(北野邦俊委員長)が、衆院選公示まで残り10日余りとなっても推薦候補を決められない異例の事態になっている。自民党の有力な支持基盤だが「政権選択選挙」が叫ばれ、支部組織で推薦候補の意思統一が難航していることが背景にあるとみられる。
県医師連盟は6月下旬の執行委員会で(1)政権与党の候補者を中心に推薦決定する(2)医療政策に理解がある候補者を選ぶ--基本姿勢を確認し、各郡市の支部ごとに推薦候補を出してもらうことにした。しかし、支部から上がってこないため、県連盟として最終決定する執行委員会の開催日程も決まらないという。
事務局は「過去には公示後に決定したこともあるが、やはりやきもきしている。医療政策への理解は自民党とか民主党とかの区別はないわけで、それぞれのマニフェストをじっくり吟味してみなければいけない」という。
支部組織のうち「熊本市医師連盟」(福田稠(しげる)委員長)は6月下旬の総会で、熊本2区で初めて自民、民主双方の候補者の推薦を決めた。1区ではこれまでの衆院選から自民党候補者だけでなく、民主党前職の松野頼久氏も推薦している。
1、2区ともに両党の候補予定者から推薦願が届いたため、医療政策に関するアンケートを実施。それを元に総会で討議したところ、民主党に期待する声などもあり、双方推薦に落ち着いた。2区の民主新人の親族に医師がいることなども影響したとみられる。
ただ、熊本2区は熊本市だけでなく、玉名市や荒尾市などの各郡市支部もあるため、県医師連盟は難しい選択を迫られそうだ。【笠井光俊】
毎日新聞 2009年8月8日 地方版