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首相、原爆症救済へ確認書署名 官房長官が長期化陳謝

2009年8月6日10時13分

写真:調印式に出席し握手する麻生首相と被団協の坪井直代表委員=6日午前9時40分、広島市中区、高橋正徳撮影調印式に出席し握手する麻生首相と被団協の坪井直代表委員=6日午前9時40分、広島市中区、高橋正徳撮影

写真:調印式で確認書を交わす(右から)麻生首相、被団協の坪井直代表委員と田中熙巳事務局長=6日午前9時40分、広島市中区、高橋正徳撮影調印式で確認書を交わす(右から)麻生首相、被団協の坪井直代表委員と田中熙巳事務局長=6日午前9時40分、広島市中区、高橋正徳撮影

写真:調印式の後、被団協の坪井直代表委員(中央)は舛添厚労相と握手し笑顔を見せた=6日午前10時28分、広島市中区、高橋正徳撮影調印式の後、被団協の坪井直代表委員(中央)は舛添厚労相と握手し笑顔を見せた=6日午前10時28分、広島市中区、高橋正徳撮影

 原爆症認定集団訴訟をめぐり、麻生首相は6日午前、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員らとともに、「集団訴訟の終結に関する基本方針」を記した確認書に署名した。306人の原告のうち、まだ原爆症と認定されていない110人全員を救済する枠組みと、訴訟を終結させることを盛り込んだ。同訴訟は03年の提訴から6年余で終結する。

 首相は署名後、被爆者団体の代表らと広島市内で会談し、「原告の方々が高齢になっていること、長きにわたり訴訟に携わってこられたことにかんがみ、司法の判断を尊重して、原告の方々を早期に救済する新たな方針を決断した。極めて異例な対応だ」と表明した。

 河村官房長官は6日の記者会見で「裁判が長期化し、被爆者の高齢化、病気の深刻化などによる被爆者の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみや、集団訴訟に込められた原告の皆さんの心情に思いをいたし、これを陳謝する」と語った。

 確認書は(1)一審で勝訴した原告については控訴しなかったり、控訴を取り下げたりして判決を確定させる(2)係争中の原告については一審判決を待つ(3)議員立法で基金を設け、原告にかかる問題解決に活用する――とした。

 基金は、敗訴した原告15人の救済目的とは明示しなかった。政府関係者によると、規模は敗訴原告1人あたり1千万円の計1億5千万円程度で、政府や民間出資を想定。活用方法は被爆者側が決め、間接的に敗訴原告を救済する。首相は会見で「基金の詳細は今後検討していく」と述べた。

 確認書ではさらに、今後、訴訟で争う必要のないよう、厚生労働相と被爆者団体などの間で定期協議を設置し、その場を通じ解決をはかる▽原告団は集団訴訟を終結させる――ことも記した。

 原爆被爆者は約24万人いる。原爆症認定を申請し、審査を待つ被爆者は現在約7600人いるが、原告を対象とした今回の救済策は適用されない。これらの被爆者に救済策が必要かどうかなどは議論となる可能性がある。

 民主党の鳩山代表は6日、「政府が救済策をまとめたことはありがたく一定の前進だが、原告の受け止めもよく聴いていく必要がある」と語った。

■原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書(全文)

1、一審判決を尊重し、一審で勝訴した原告については控訴せず当該判決を確定させる。熊本地裁判決(8月3日判決)について控訴しない。このような状況変化をふまえ、一審で勝訴した原告に係る控訴を取り下げる。

2、係争中の原告については一審判決を待つ。

3、議員立法により基金を設け、原告に係る問題の解決のために活用する。

4、厚生労働大臣と被団協(日本原水爆被害者団体協議会)・原告団(原爆症認定集団訴訟全国原告団)・弁護団は、定期協議の場を設け、今後、訴訟の場で争う必要のないよう、この定期協議の場を通じて解決を図る。

5、原告団はこれをもって集団訴訟を終結させる。

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