2009年8月6日3時0分
準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が東京国税局から約5億円の所得隠しを指摘され、うち約2億6千万円を「使途秘匿金」と認定されたことが分かった。大半は海外事業でつくった裏金をめぐるもので、国内外での工事受注の工作費に充てられていた模様だ。
同社は「当局の指摘を受け入れることにした」としている。同社は既に重加算税や地方税などを含む追徴税額が約6億3700万円に上る見通しだと明らかにしている。
同社が5月に公表した調査報告書などによると、同社は香港などに設立した複数のペーパーカンパニーを通じて工事費を水増しするなどして約9億円の裏金を捻出(ねんしゅつ)した。
国税局はこのうち時効にかからない08年3月期までの7年分を調査。東南アジアの工事で架空外注費を計上したり日本に持ち込まれた裏金が本社の収益に計上されなかったりしたとして、悪質な所得隠しだと指摘した模様だ。
同社関係者によると、裏金の大半は国内での工事受注のための工作費や地元対策費などとして、政治家関係者などに渡されたという。
しかし同社は支払先を明かさなかったため、国税局は使途秘匿金として通常の法人税に加えて40%の制裁課税をしたとみられる。裏金のうち約8千万円は使われず、プールされていたという。(中村信義、舟橋宏太)