大崎市古川の大崎市民病院本院の建て替え問題で、病院の医師ら医療スタッフが4日、伊藤康志市長に現在地での建て替えではなく、古川稲葉の区画整理地「穂波の郷」にある市の保有地に移転建て替えするよう要望書を手渡した。伊藤市長は「課題は何か精査し解決に向け話し合いたい」と慎重に対応する姿勢を見せている。
市は昨秋、周辺用地を買収し敷地を拡げて現在地で建て替え、13年の開院を決定したが、用地買収が進んでいない。このため、用地の完全買収を前提に建て替えを認めた医療スタッフ側は「新病院棟の形がいびつになる恐れがあり、動線が悪くなって理想の医療現場から遠くなる」と承認姿勢を転換し、移転建て替えの要望となった。
穂波の郷の市有地は2・5ヘクタール前後。市図書館などの社会教育施設用地として10年以上前に買収したが、現時点で利用構想はない。要望書を渡した壺井匡浩同病院第一放射線科長は「穂波の郷は日照権による建築制限もなく優れたレイアウト設計ができる」と移転の利点を挙げている。
要望書に添えられた移転賛同署名は、副院長や看護師長、薬剤師ら124人。患者を第一に考えて行動を続けることで一致しているという。
伊藤市長は民生部長を医療スタッフ側の連絡役にし、話し合いを続ける姿勢。【小原博人】
毎日新聞 2009年8月5日 地方版