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【外信コラム】ポトマック通信 医療改革が進まぬ訳
先日、自宅近くの医療施設で、ある専門医の診察を受けた。健康診断の結果、「精密検査が必要」と言われたからだ。
米国の現行の保険制度では医療機関を受診するにはまず、自分が加入する民間医療保険を受け付ける病院を探さなければならない。
該当する医療機関を見つけ出し、当日、早めに待合室に行くと、まず備え付けのパソコンで、膨大な量の個人情報や健康状態のチェックを入力させられた。診断の結果、「血液検査と超音波検査が必要」と言われた。医師は「超音波検査は同じ病院にある別の受付まで行って自分で予約してくれ」と言う。
血液検査はその場で受けられると思っていたら、こちらも「この施設にはあなたの保険が利く検査機関がない。自分でネットで探して」と、とりつく島もない。同じ医療施設内にあっても、各医療サービスは独立して運営されているためらしい。
医療検査専門の全国組織のサイトにアクセスして、家から近そうな検査所を予約した。日を替えていくと、同じような書類の記入と、結果を専門医へ報告する情報開示への承諾のサインも求められた。
米国には4700万人の無保険者がいるといわれる。にもかかわらず、医療費の支出は先進国最大だ。中でも直接の医療費以外の管理費用が約3割に上るという。国民皆保険を目指すオバマ大統領の改革を阻む効率の悪さを目の当たりにした。(渡辺浩生)
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