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東京都・周産期医療協議会
周産期搬送コーディネーターの公募開始
運用は8月末にも 大都市での救急搬送に対応
2009.8.3


 東京都の周産期医療協議会は、周産期医療システムの母体搬送や新生児搬送の受け入れ先の選定をサポートする「東京都周産期搬送コーディネーター」の運用を始める。重症案件を扱う「母体救命搬送システム(スーパー母体救命)」を除く案件を担当するもので、8月からコーディネーターの公募を始め、早ければ8月末にも運用を開始したい考えだ。救急搬送件数の多い大都市での新たなシステム導入に注目が集まりそうだ。

 都では、3月末から3病院を「母体救命対応総合周産期母子医療センター(呼称:スーパー総合周産期センター)」に指定し、重症例を必ず受け入れるスーパー母体救命を導入している。コーディネーターはそれ以外の周産期の案件をカバーする。ブロックごとにある総合周産期センターや地域周産期センター、周産期連携病院、東京消防庁などと協力して受け入れ先を選定する。

 コーディネーターは東京消防庁に設置する予定で、24時間体制で365日業務にあたることを想定している。助産師か同等の知識を有する者と規定し、すでにコーディネーターの経験がある数人と面接した。非常勤で枠を設けず採用し、シフト制で体制を整える。

 業務内容としては、<1>医療機関の応需情報の把握<2>コーディネーター業務<3>その他の付随業務―の3項目。<1>の医療機関の応需情報では、「周産期医療情報システム」の診療能力情報を補助する形で、原則として午前9時ごろと午後5時30分ごろの2回にわたって医療機関の状況を把握し、搬送先の選定に役立てる。

 周産期医療情報システムでは、各医療機関の状況が「○」、「×」だけで表示される。実際にはやりくりをすれば受け入れられる「△」に該当するような病院もあることから詳細な情報を吸い上げ、円滑な受け入れにつなげる。

 <2>のコーディネーターは、患者情報や総合周産期センターからの助言、医学的助言などを基に医療機関を選定する。<3>のその他の付随業務としては、周産期医療情報システムの更新依頼、搬送先選定についてのデータの整理、統計の作成、医療機関の基本情報の調査などを担う。

●総合周産期センターを最後のとりでに

 実際の搬送先選定の概略は図の通り。一般通報の場合は周産期案件が入電すると、コーディネーターが各ブロックの総合周産期センターに受け入れを要請。総合周産期センターが受け入れ不能な場合は、ほかの病院を選定、総合周産期センターも選定に協力する。それでも受け入れ先が決まらない場合は、総合周産期センターが責任を持って対処する。

 転院搬送では、産科施設が日常的に連携している病院へ独自に要請するのに併せ、ブロック内の総合周産期センターなどに依頼する。その際には、母体情報や胎児情報、現在の治療の状況などを書いた用紙をファクスし電話で依頼。依頼を受けた総合周産期センターとブロック内の病院で受け入れ不能の場合は、センターがコーディネーターに調整を依頼し、産科施設にはファクスをコーディネーターに送るよう指示する。

 コーディネーターは別のブロックの病院に受け入れを要請し、受け入れ先が決まらない場合は総合周産期センターが責任を持って対処。どちらのケースも途中でスーパー母体搬送に該当すると判断されれば、同システムを運用して搬送する。



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