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【北京五輪】【バドミントン】オグシオに母国超えの夢託す 中国離れ日本国籍取得の中島コーチ2008年7月7日
バドミントンの女子ダブルスの北京五輪代表「オグシオ」こと、小椋久美子、潮田玲子両選手(三洋電機)を支えるコーチ、中島慶さん(46)は、日本国籍を取得した中国人指導者だ。バドミントンへの思いが国境を超え、日本の選手に受け継がれている。 大阪府大東市の三洋電機大東スポーツセンター。シャトルを打ち合う音が延々と続く。「頑張れ」「走れ」「強く」。中島さんの大きな声がコートにこだまする。 中島さんの中国名は丁其慶。浙江省杭州市出身で、9歳の時、バドミントンを始めた。ナショナルチームで活躍し、1986年にはアジア大会男子ダブルスで銅メダルを獲得したが、1年後、腰を痛めて引退を余儀なくされた。 日本に来ていた友人から誘われ、龍谷大に留学。91年から日本で指導者の道を歩み始めた。日本国籍の取得は2000年。親は反対したが、こだわりはなかった。「日本は桜がきれいな国で、昔から好きだった。海外遠征での出国手続きが煩雑なので国籍を取得した」。中国の「中」と島国の日本から「島」を取って、中島に。 しかし、中国と日本では、バドミントンの社会的な支援体制に大きな差があった。実業団バトミントン部は、リストラで次々と廃止された。04年から指導する三洋電機は、中島さんにとって5社目だ。「三洋電機はスポーツに理解があり、安心してやれる」 北京五輪で目指すのは、もちろんメダル。だが、その前には、中島さんの母国が立ちはだかる。「スポーツに国籍は関係ない。どこの国でも自分の教える子が一番」。中島さんは、教え子が母国を超える日を夢見ている。
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