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  ▼ 記者の視点
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医療界は望むべきか否か
総選挙での政権交代
2009.7.29

 ついに麻生太郎首相が解散を決断した。東京都議選の結果を見ても、次の総選挙は自民党にとっては相当苦しい戦いを強いられることになる。4年前の郵政選挙での異常な獲得議席を確保できないことは容易に想像できるとしても、自民・公明での過半数割れも十分に想定できる。

●総裁選の前倒しやるべきだったのでは…

 自民に残された道は、「ポピュリズムに過ぎる」と批判されるのを覚悟の上で、舛添要一厚生労働相を新総裁に担ぎ、「舛添新総裁」を選挙の顔として戦う以外にないような気がしていたが、それもなくなった。先ごろの「麻生降ろし」の一幕は、国民にとって「権力にしがみつく首相」という悪い印象しか与えておらず、たとえ「看板のすげ替え」と揶揄されても、総裁選をやるメリットの方が大きかったと思う。

 参院議員が総裁にふさわしくないということであれば、衆院にくら替えして総選挙に出馬すればよいだけの話だ。民主党の大物候補の選挙区に“落下傘”で降りてもらい、自民・総裁と民主・大物の対決という構図にすればマスコミも飛びつく。鳩山由紀夫代表の選挙区に降りて、「勝った方が次の総理」と喧伝すれば、なおよい。実現しそうもない話だが、そこまでしないと自民にはなかなか勝機は見えない。

 それにしても、麻生首相は何か大きな失敗をしたのだろうか。大型の景気対策など、そつなくこなしたのではないか。「漢字の読み間違い」は、それほど大げさに騒ぐ必要があるのかなと思うし、「ころころ変わる方針」にしてもマスコミの観測記事がころころ変わっただけで、当の本人の方針は変わっていないことが多かったような気がする。マスコミがつくり出す政局の風とは怖いものだ。

●「診療報酬は国会で決める」

 先日、民主党の岡田克也幹事長が東京都内での講演で、診療報酬改定は国会で決めると述べたという。舛添要一厚生労働相は24日の閣議後の会見で「1つの重要な提案だと思うので、よく検討していいと思う」とし、一定の評価はする姿勢を示した。

 ただ舛添厚労相は「審議会で大臣の暴走を阻止するという良いところは使う。私もさまざまな批判をしてきたが、彼らが立派な仕事をしてくれていることについては、疑いを差し挟んでいない」とも述べた。

 昨年7月から凍結されている後期高齢者終末期相談支援料をめぐるドタバタ劇は、当の大臣が少々、暴走気味だったような気もするが、もともと同支援料を凍結せよとの主張は民主党からわき起こったものだった。中医協で合意した診療報酬点数項目を現場での検証を経ずに凍結することに関して、中医協委員から「今回、限りにしてほしい」との注文が飛んだ際、舛添厚労相は「今の政治状況を考えると無理なお願いでもしなければならない」と理解を求めた。

 民主党が政権を取っていない段階でも、こうした事態が起きたことを考えると、政権を取った後はより強烈な中医協への政治介入が想像できる。岡田氏の発言はそれを暗示している。これを勘案してもなお民主党に期待するのか、それとも、いつまでたっても医療費削減策を撤回してくれない自民党にいちるの望みを託すのか。1カ月間、ゆっくり考えてみたい。(山口 尚宏)

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