大阪府が検討を始めた府立泉州救命救急センターと、泉佐野、貝塚、阪南3市立病院の経営統合。府は国の制度を活用し、自治体の枠を超えた地域医療の再整備を目指す。しかし地元では「地域に根ざした医療ができるのか」などの戸惑いの声が出ている。
各病院とも赤字や医師不足を抱えているが、現地自治体は反応が分かれる。泉佐野市は「自治体が協力した医療体制による経費削減が不可欠」と歓迎。一方、3市の中で病院債務が少ない貝塚市は「各病院の債務は各市で解消しないと統合はできない」と困惑する。
阪南市立病院では07年、医師不足から1年以上内科が休止した。阪南市社会福祉協議会の米原武雄会長は「経営統合で巨大病院になると、地域に根ざした医療が難しくなるのでは」と指摘する。
一方、笹井康典・府健康医療部長は「独立行政法人で統合し、府も参画し、大学も支援する。公立病院改革のモデルになりうる」と自信を示し、全国で最大10カ所の医療圏域に上限各100億円が分配される国の制度の活用を目指す。【野田武、酒井雅浩、福田隆】
毎日新聞 2009年8月1日 大阪朝刊