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遭難:大雪山系で中高年7人孤立 別山では1人心肺停止

トムラウシ山と美瑛岳の位置
トムラウシ山と美瑛岳の位置

 16日午後3時55分ごろ、北海道新得町の大雪山系トムラウシ山(2141メートル)登山中の男性から「山頂付近でツアー客やガイド十数人が動けなくなっている」と110番があった。同日深夜~17日未明に男女4人が自力で下山したが、7人が山頂付近に取り残され、残る7人は下山途中とみられる。

 さらに16日午後5時50分ごろ、美瑛町の同山系美瑛岳(2052メートル)でも、登山ツアー会社から道警に「登山中の6人のうち、女性ツアー客1人が低体温症で動けなくなったようだ」と連絡があった。美瑛消防署などによると、救助隊が17日未明、兵庫県姫路市の尾上敦子さん(64)の心肺停止を確認したという。

 道警によると、トムラウシ山の登山者は、宮城1人▽静岡2人▽愛知5人▽岐阜1人▽広島4人▽山口1人▽岡山1人--の50~60代のツアー客15人(男性5人、女性10人)と、付き添いの男性ガイド4人の計19人。ツアーは東京都千代田区の登山ツアー会社「アミューズトラベル」が企画した。14日に旭岳から入山。白雲岳、忠別岳などの大雪山系の尾根を縦走し、16日にトムラウシ山から下山する予定だった。

 道警やアミューズトラベルによると、16日はガイド1人以外の18人が山頂を目指したが、午前11時ごろに山頂付近で女性客1人が体温低下で動けなくなり、男性ガイド1人が付き添って、16人は下山を始めた。だが、同11時半ごろには別の女性客が意識を失ったため、山頂付近でこの女性を含む男女5人でビバークを開始したという。

 残る11人は下山を続けたが、このうち、男女3人が5合目に到着したところで110番した。同日午後11時半ごろにはこの3人のうち、広島市の亀田道行さん(64)と前田和子さん(64)がトムラウシ山短縮コース登山口に到着した。17日午前0時55分ごろには、山口県岩国市の斐品(ひしな)真次さん(61)と仙台市の長田良子さん(68)がトムラウシ温泉付近に下山した。4人とも意識ははっきりしているという。

 美瑛岳の登山者は、尾上さんのほか、姫路市の56歳女性と埼玉県草加市の女性、男性ガイド3人の計6人。15~19日にかけて、十勝連峰を縦断する予定で、占冠村トマムから入山し、テントを張りながら、十勝岳を経由し、美瑛岳に向かっていたという。美瑛岳にいる男性ガイドから登山ツアー会社「オフィスコンパス」(茨城県つくば市)に対し、携帯電話で女性の異変を知らせる連絡があったという。道警などが救助に向かった。

 釧路地方気象台帯広測候所によると、16日のトムラウシ山山頂付近の天候は、低い雲がかかっていた。風速20~25メートルの西よりの強風が吹き、日中の最高気温は平年並みの8度ほどだったとみられる。同日夜の山頂付近は横殴りの雨という。【田中裕之、和田浩幸】

毎日新聞 2009年7月16日 21時47分(最終更新 7月17日 2時27分)

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