2009年7月31日11時4分
【ワシントン=望月洋嗣】イラクの多国籍軍に参加していた米軍以外の部隊が31日までに撤退を終えて、「多国籍軍」の名称も変更されることになった。11年末の撤退を目指す約13万人の米軍は今後、イラク軍を頼りに治安の回復を目指すことになる。
多国籍軍のウェブサイトに掲載される米軍以外の部隊は30日の時点で英、豪、ルーマニアの各国軍。英BBCによると、4月末に戦闘部隊を撤退させた英軍は、イラク軍の訓練担当として残留していた150人についても28日までに隣国クウェートに引き揚げた。
米紙によると、ルーマニア軍は23日に撤退、オーストラリア軍も31日までに引き揚げる。多国籍軍の広報は30日、来年1月には「イラク多国籍軍」の名称を「イラク米軍」に変更する方針を確認した。
多国籍軍はブッシュ大統領の呼びかけに応じた「有志連合」を母体とし、イラク戦争が始まった03年以降に日本を含む計38カ国が参加し、米国とともに戦った。だが、イラクの安定化とともに撤退が相次ぎ、多国籍軍駐留の根拠となっていた国連安全保障理事会決議も昨年末に期限が切れた。オバマ政権は11年末のイラク完全撤退に向け、6月末にイラク都市部から米軍を撤収した。