【ジュネーブ澤田克己】国連アフガニスタン支援団は31日、今年1~6月にアフガニスタンで戦闘に巻き込まれて死亡した民間人が前年同期比24%増の1013人に上ったという報告書を発表した。米軍などの空爆による死者が200人に上る一方、武装勢力タリバンの攻撃による犠牲者が全体の59%を占めているという。
支援団は軍関係者や目撃者への聞き取りを含む現地調査を行った。支援団が調査を始めた07年には上半期の民間人死者は684人、08年同期は818人だった。タリバン側、政府軍・米軍側ともに、民間人の犠牲者は増え続けているという。
今年上半期で、タリバン側の攻撃によると判明した死者は595人だったのに対し、空爆を含む政府軍や米軍の攻撃による死者は310人で全体の約30.5%だった。残りは不明や調査中という。
07年には、年間の民間人犠牲者のうち、タリバン側攻撃による死者が46%、政府軍・米軍側攻撃の死者が41%だった。これに比べ今年上半期は、タリバン側の攻撃による死者の割合が増えている。
タリバンは、外国軍関連の仕事に従事する民間人や、外国からの支援を受けた復興事業を請け負った建設会社の社員を狙って、自爆テロや手製爆弾(IED=即席爆破装置)による攻撃を仕掛けているといい、これが民間人被害を大きくしているようだ。
アフガンでは米軍の無人機によるミサイル攻撃が問題となっているが、今年上半期には40回の空爆で民間人200人が死亡した。死者数は5月が81人、6月が51人で、この2カ月に、特に犠牲者が集中していた。
米国防総省は、昨年10月から今年5月までに戦闘に巻き込まれた民間人死者が505人で、被害の75%が武装勢力によると今月、発表していた。
毎日新聞 2009年7月31日 20時49分