(CNN) イラク中部の古代遺跡バビロンを、米軍が2003年から04年にかけ、基地建設などによって大きく損壊させたとする報告を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がこのほど発表した。駐留米軍の報道官は「当時この地域を占拠した目的には、略奪からの保護も含まれていた」と説明している。
首都バグダッドから南方へ車で約1時間。バビロンは、メソポタミア文明の中心となった古代都市だ。米軍は対イラク開戦直後の03年4月にここを占領し、同年9月から04年12月まで「キャンプ・アルファ」という基地として使用した。
ユネスコによると、米軍は基地を建設する際、掘削や整地、鉄条網の設置などにより遺跡を損壊した。動物の浮き彫りで知られる「イシュタル門」や、れんが壁で飾られた「行列道路」などの主要部分も被害を受けたという。
ただ、報告は一方で、遺跡の一部はイラク戦争前から、住民による開発などで破壊されていたとしている。
イラク観光当局の報道官によると、米国はバビロン遺跡の復旧に80万ドルの資金協力を約束している。8月には数百人のボランティアを動員して、片付け作業が行われる予定だという。