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中国:「ウイグルの母」存在感 カーディルさん、人権巡り米に亡命

 「ウイグルの母」と呼ばれる在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」議長のラビア・カーディルさん(62)は、新疆(しんきょう)ウイグル自治区での暴動後、存在感を飛躍的に高めている。中国政府が暴動の首謀者と非難する構図は、チベット暴動の際のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に対するものと共通しているとの見方もある。

 カーディルさんは、新疆ウイグル自治区で実業家として成功し、共産党に入党、一時は中国人民政治協商会議委員も務めた。しかし、人権問題を巡り当局に批判的な姿勢を強めたため、99年に拘束され、05年に米国に亡命した。以来、人権問題で発言を続け、ノーベル平和賞候補としてもたびたび名前が挙がった。

 29日の毎日新聞との会見では、暴動を扇動したとする中国政府の主張に強く反論。中国政府は、カーディルさんが暴動直前、家族に電話をかけたことを首謀者としての証拠に挙げている。これについてカーディルさんは会見で、インターネット上で抗議デモが呼び掛けられていることを知り、暴動前日の4日に弟に電話をかけたことを明らかにし、「子供たちが無事かを尋ねただけだ」として中国政府の見方を一蹴(いっしゅう)した。また、「電話の盗聴は恥ずべきことではないのか」とその姿勢を強く批判した。

 ダライ・ラマとの連携については「置かれた状況は共通しており、一緒に行動することはある」と語ったが、具体的な内容には言及しなかった。【鵜塚健】

 ◇「反中シンボル」中国政府が警戒

 【北京・浦松丈二】中国政府は「世界ウイグル会議」議長のラビア・カーディルさんをウルムチ暴動の「黒幕」と批判し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と同じように海外で「反中活動」のシンボルになることを強く警戒している。

 カーディルさんへの訪問ビザ(査証)発給について、中国外務省が日本政府への強い不満を表明したほか、政府報道担当者が北京の日本メディアに「7・5暴力事件とラビア氏」と題した日本語版DVDを配布するなど神経をとがらせている。

 中国の国際情報紙・環球時報は29日付1面トップで「日本は新疆独立分子の入国を許した」と報じ、最近では異例の日本批判を展開した。暴動後、日本が最初にカーディルさんを受け入れたことを問題視しているようだ。

 同紙は「麻生内閣はやっかいなことを後任に残した」と批判。「弱点を突いて痛みを感じさせなければならない」との専門家の意見を伝えた。

毎日新聞 2009年7月30日 東京朝刊

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