バグダッド(CNN) イランの反体制組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)は、首都バグダッド北方アシュラフにあるMKOのキャンプが28日夜にイラク治安部隊の攻撃を受け、少なくとも4人が死亡、385人が負傷したと述べた。
イラク内務省の関係者は、攻撃がキャンプ制圧を目的にイラク政府が許可したものであり、負傷者は15人にとどまったと述べた。キャンプ住民は警棒で殴打されたが、死者が出ているかは不明だとしている。
また、アシュラフに近いバクバの警察関係者は、作戦が依然実行中であり、最終報告はまだないとしたうえで、詳細を29日に発表すると述べた。
一方、MKOの政治部門「国民抵抗評議会」は、治安部隊要員が催涙ガスを発射し、キャンプ住民を殴打したうえ、キャンプの周囲の壁やフェンスを取り壊したと主張し、米国や国連に介入を求めた。キャンプ関係者は、住民30人近くが連行されたとしている。
キャンプ・アシュラフには3500人前後が生活しており、大半が約25年前にイランから逃れてきたMKOのメンバー。MKOは米国とイラン、イラク、カナダからテロ組織に指定されているが、欧州連合(EU)と英国は既に指定を解除した。
イラク当局者は28日、米国からイラクへの権限移譲の一環として、政府が同キャンプの警備を担うと発表。イラク政府のダッバグ報道官は、政府が同キャンプで国際法に基く「人道活動」に取り組むものの、MKOメンバーの国外退去を図ると述べた。
同キャンプには1980年代からイラン人が居住。今年1月1日にイラク側に権限が移譲されるまでは、米国の保護下に置かれていた。国民抵抗評議会の議長に選出されたMKO指導者マリアム・ラジャビ氏はオバマ米大統領に書簡を送り、米軍による同キャンプの保護を要請したという。米軍のコメントは得られていない。