米マイクロソフトとヤフーが提携、グーグルを追撃
[サンフランシスコ/シアトル 29日 ロイター] 米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)とヤフー(YHOO.O: 株価, 企業情報, レポート)は29日、ネット検索事業で10年間の提携に合意した。両社の関連事業を統合することで、検索最大手のグーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)を追撃する。ただ、オンライン・ディスプレー広告事業の統合には至らなかった。
今回の提携で、マイクロソフトは検索エンジン「ビング」をヤフーに提供する。両社のプレミアム検索広告の販売は、ヤフーの営業部門が担う。今後、規制当局の審査および承認を経る必要があるほか、提携効果が早急に得られるかは不透明。
提携合意の発表を受けヤフー株は12%下落した。合意内容にヤフーに対する前払い金支払いが含まれていないなどが投資家の失望を誘った。バーンスタインのリポートによると、一部投資家はヤフーへ30億ドルの前払い金が支払われることを期待していた。
ジェイコブ・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ライアン・ジェイコブ氏は、前払い金や収入を両社間で分け合うなどの面で「より高い額を望んでいた」と語った。さらに「両社にとりリスクとなる。今回のような大きな提携はうまくいかないことが多い。長期的な提携で、最終的に実行されるには時間がかかる」との見方を示した。その上で「まったく提携しないよりはいい」と述べた。
マイクソフト株は1.4%上昇、グーグルは0.8%下落した。
ヤフーは提携で、営業利益が年間で約5億ドル増え、設備投資を年2億ドル節約できるとみている。営業活動によるキャッシュフローも年2億7500万ドル増える見通し。
現時点で、この提携がグーグルに即座に影響する可能性は低い。ヤフーのキャロル・バーツ最高経営責任者(CEO)は、当局の承認を得て完全に提携が実施されるには2年半程度かかる可能性があるとの見方を示していることから、提携の効果が出るのは、早くて2012年初めになる見通し。
コムスコアの調査によると、米国内のネット検索市場では、グーグルのシェアが65%、ヤフーが19.6%、マイクロソフトが8.4%。
IAC/インタラクティブ(IACI.O: 株価, 企業情報, レポート)のバリー・ディラーCEOは「マイクロソフトにとり、サーチ市場のシェア拡大につながる。一方、ヤフーはサーチ事業に関連する経費が削減できる」との見方を示した。
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