職場のうつ“偏見と本音”編 [1]

投稿者 編集長Mio | 職場のうつ | このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

 100年に一度とも言われる不況のあおりで、企業内でうつ病が増えていると言われる。
「誰でもかかる可能性がある」との認識が広がってはいるものの、偏見も根強く、ぎこちない対応が見られることもある。
 会社勤めしている患者が一日の大部分の時間を過ごす「職場」において、同僚や上司部下は、どのように「うつ病」に接しているのだろうか。
 QLifeでは、全国の上場企業勤務者300人へのアンケートを行い、うつ病を取り巻く職場環境を調査した。


家族や友人にうつ患者がいるかどうかで、感じ方が変わる

 自身に診断経験や症状経験がなくても、「うつ病になる可能性は、まったくない」と言い切る人は15%にとどまる。企業勤務者間へのうつ病の認知拡大の様子がうかがえる。(注:本調査対象は上場企業勤務者のみ。中小企業でも同程度の結果になるとは限らない)
 しかしながら各人が感じるリアリティは、「身近に治療経験者がいるか否か」で大きく異なる。家族や親しい友人に治療経験者がいる人は、48%が「自分がうつ病になる可能性は、大いに/ややある」と答える一方で、近親者に経験者がいないと74%が「あまり/まったくない」と答える。

Q1.あなたが「うつ病」になる可能性はあると思いますか。

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医師から副作用情報が伝達されていない?

日本で承認されているSSRI

 関与度別に、副作用報道への感度が大きく異なることが分かった。
 うつ病治療薬の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤 [Selective Serotonin Reuptake Inhibitors])の副作用について2009年3月に報道された。この報道を、現在通院中の患者層では53%が明確に認識していたが、うつ病の経験がない人では認識率が10%にとどまった。
 ただし、医療者と定常的に接触しているはずの「現在通院中」患者でさえ、認識率が53%にとどまったのは、「低すぎる」と考えるべきかもしれない。もちろん患者の状態からあえて説明しないケースも含まれるはずだが、医療者から患者に対し、副作用情報が積極的には提供されていないのかもしれない。

Q2.うつ病治療薬として一般的なSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)について、「他人に暴力を振るうなど攻撃性を増す副作用がある疑い」が今年3月に報道されました。この報道をご存じですか。

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薬の副作用に自ら気が付いていた患者も

 副作用報道を明確に認識していた人だけを対象に、その報道に接した時の感想を自由に述べてもらったところ、内容は以下の7系統に分かれた。
 強い恐怖や弱い恐怖を覚えた人はあわせて42%に上った。また通院中患者の少なくとも6%が、「薬を服用しにくくなった」「薬を飲むべきか迷った」とし、医療者経由でなくマスコミからこの種の情報が伝達された場合の危うさが感じられる。
 「副作用ばかり強調した報道はやめてほしい」など、報道の仕方や論調に関する意見も上がった。実際、弱い恐怖者の反応に、「(治療中の自分を)同僚等が誤解するのではないかと不安になる」「周りでも薬を使っている人がいると思うので・・(略)・・怖い気もするが偏見を持ってはいけない」という、報道による偏見を危惧するものが見られた。
 ただ一方で、「もっと早く知りたかった」との意見もあった。
 注目すべきは、全体の少なくとも11%(患者すなわち通院経験者のうちの、少なくとも16%)(報道認識していない人も含めた通院経験者のうちの、少なくとも7%)もの人が、報道で知るよりも以前から、当該症状を認識したり副作用疑いを持っていたこと。無視できない数の患者が「自ら副作用に気付いている」可能性を示唆している。

Q3.報道(うつ病治療薬の攻撃性副作用の疑い)を知って、どのように思いましたか。

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適切な情報伝達が望まれる

 続いて、関与度別に副作用報道への感じ方の違いを見た。
 「通院中」患者は、感じ方が最も分散している。疾患を多面的に見知っている人が多いことの現れだろう。「副作用症状を以前から認識していた」が通院経験群に一定比率で含まれるのは、前述の通り。
 一方、「未治療」群は、強い恐怖を感じる人が多い。もともと薬物療法に対する不信感ある人がこの群には含まれていて、それが恐怖へと発展したのかもしれない。未治療者が副作用報道を知って、ますます医療機関から足が遠のいてしまった可能性も危惧される。
 興味深いのは、「全く経験なし」群が「通院中」群と同じくらいに、「薬だから当たり前/仕方ない」「報道の仕方/姿勢がよくない」比率が高く、冷静にみている様子がうかがえること。うつ病関与度が低いにも関わらず報道を認識していた→情報リテラシーが高い人が多いのかもしれない。公的団体や製薬会社などが疾患の啓蒙啓発情報を発信する際でも、疾患経験から遠い人であっても、かえって高い意識で情報を取り扱ってもらえる可能性を示唆している。

Q3.報道(うつ病治療薬の攻撃性副作用の疑い)を知って、どのように思いましたか。

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