阪急コミュニケーション
アルコール依存の人はなぜ大事なときに飲んでしまうのか
仮屋暢聡 著
  • 税込価格¥1,575
  • 四六判並製/212ページ
  • ISBN978-4-484-09230-0
  • 2009.7発行
  前のページへ
内容
厚生労働省の調査によれば、日本のアルコール依存患者は4万3000人。しかし、アルコール依存症の診断基準を満たす人は、なんと約80万人もいるとみられている。隠れアルコール依存症の人は、450万人にも上るそうだ。アルコール依存の顕著な例が、「なぜあんなに大事なときに、飲んでしまうのか?」ということだ。これは、この病が、「コントロール不能の病」だからだ。つまり、制御不可能なのだ。本書は、アルコール依存を一見そうとは見えない「アルコール依存前期」と、問題のあることが明らかな「アルコール依存後期」とに分け、それぞれの時期の特徴、依存の3つのタイプ、脱出法、対処法等を精神科医が詳述している。著者曰く、「アルコールを飲んで一度でもブラックアウト(記憶喪失)を経験した人は要注意!」と警告している。

本書ではこの事実をふまえ、アルコール依存を一見そうとは見えない「アルコール依存前期」と、問題のあることが明らかな「アルコール依存後期」とに分け、それぞれの時期の特徴や、なぜ前期から後期へと進行していくのか、その間にある一線とは何かなどを詳しく解説しています。さらに、アルコール依存を3つのタイプに分類し、どのような人がどのタイプになるのかを分析しました。そのうえで、アルコール依存から脱する方法や、あなたの周囲の人がアルコール依存かもしれないと感じたときの対処法などについても、わかりやすく説明しています。(まえがき)より
目次

まえがき もしかしたら「アルコール依存の人」かもしれない

第1章 アルコール依存の人は、なぜ大事なときに限って飲むのだろう?

1 あのとき、あの人に、何が起こったのか
“もうろう会見”のとき、中川昭一氏はどんな状態だったのか
問題にすべきは、むしろガイトナー長官との会談
なぜ“もうろう会見”が起こってしまったのか
「アルコールと風邪薬の併用」が意味するものは?
妻はなぜ「頑張れ、日本一!」と言ったのか
アルコール問題を超えて、ベティ・フォードへの道

2 アルコール依存の人は、なぜ大事なときに飲んでしまうのか
大事なときだからこそ、飲んでしまうという不条理
アルコール依存の人は、なぜアルコール依存になるのか
アルコール問題を抱えた親の子は、アルコール依存になりやすい?!
仕事や定年からくるストレスがアルコール依存を招くこともある

3  繰り返される飲酒運転の背景にあるアルコール依存
執行猶予中に再び飲酒運転をしてしまった
アルコール依存を治さなければ、飲酒運転はなくならない

第2章 アルコール依存は、なぜ知らない間に進行していくのだろう?

1 アルコール依存の「前期」と「後期」の間には一線がある
アルコール依存は「前期」と「後期」でこんなに違う
アルコール依存が「否認の病」と呼ばれる理由とは?
アルコール依存が後期に入るとき超える一線とは?
節酒や短期間の断酒では、依存症の進行を防げない
アルコール依存の末期にはなにが起こるのか

2 酒好きの人が陥る、アルコール依存の3つのタイプ
アルコール依存の根底には、意識の変化を求める気持ちがある
「喜楽型」「悲哀型」「怒り型」の特徴と対処法
1 喜楽型アルコール依存
2 悲哀型アルコール依存
3 怒り型アルコール依存

第3章 アルコール依存と薬の危険な関係

1 アルコールと薬の相乗作用が死を招くことも
ありふれた薬が“凶器”に変わることもある!
だれもがやっていて、だれもが知らない“適当に”飲む危険性

2 依存を招く“薬物”とは
アルコール依存の人は、ほかの薬の依存にもなりやすい
依存症を引き起こす“薬物”は、だれでも手に入れられる

第4章 アルコール依存を招く病気、アルコール依存が招く病気

1 うつやパニック障害がアルコール依存を招くこともある
不安を緩和するために酒を飲んだのがきっかけで、アルコール依存に
アルコールを薬物代わりに飲んでいるうつの人が多い!?
アルコールを飲んでいると、いつまでたってもうつが治らない
うつとアルコール依存は合併し、自殺のリスクを高める

2 アルコール依存が原因で起こる病気とは
アルコールによって起こる脳と神経の病気
アルコールによって起こる身体の病気
アルコール依存の治療開始に、遅すぎることはない

第5章 アルコール依存から脱する方法、アルコール依存にならない方法

1 アルコール依存から脱するにはどうすればよいのか
自分でできるアルコール依存チェック法
不安を感じたときの医師とクリニックの選び方
アルコール依存の治療法と治療薬
アルコール依存になったらすべての薬がダメ!?
通院・抗酒剤・自助グループへの参加が3本柱

2 アルコール依存にならない飲み方とは?
アルコール量を計算する簡単な方法を覚えよう
飲み方の基本中の基本を知ろう
じょうずな酒の断り方を身につけよう

3 身近な人が「アルコール依存かもしれない」と思ったら
アルコール依存は家族を壊しながら進行していく
身近な人がアルコール依存かどうかを見分ける方法
身近な人がアルコール依存だったとき、どうすればよいか

あとがき 遊び心とネバーギブアップ

著者
仮屋暢聡(かりや のぶとし)
1957年鹿児島生まれ。1985年鹿児島大学医学部卒業。精神科医。東京都立松沢病院医員、東京都立中部総合精神保健福祉センター医療科科長・広報援助課長、東京都福祉保健局精神保健福祉課長を経て現在、医療法人KARIYA理事長。まいんずたわーメンタルクリニック院長。TOKYO心のボランティアNET顧問医。社団法人ゼンコロ監事。著書に「心はさみしき狩人─精神科医による23の狂気の物語─」(実業之日本社)、「危ない呑み方・正しい呑み方」(毎日コミュニケーションズ)、「うつ予備群」(阪急コミュニケーションズ)などがある。
●カバー写真/Patrick Steel(PPS)
●ブックデザイン/小林真理(STARKA)
ページの先頭へ
阪急ロゴ