医師不足から経営難に陥っている能登川病院と蒲生病院の二つの市立病院を抱える東近江市は、地域医療を確保するために医療体制をどう再編したらよいか医療関係者に助言を求める「東近江市地域医療体制検討会」を立ち上げ27日、市役所で初会合を開いた。国立病院機構滋賀病院や市内の民間医療機関との連携強化などが検討される。
委員には小鳥輝男・東近江医師会長や山岸久一・京都府立医科大学長、馬場忠雄・滋賀医科大学長、井上修平・国立病院機構滋賀病院長ら19人が委嘱された。委員長には小鳥会長が選ばれ、事務局から地域医療の現状や課題、18~20日に開いた住民説明会の経過について報告を受けた後、医療体制整備に向けた各委員の意見を聞いた。
二つの市立病院に医師を派遣している山岸学長は「国の施策で5年前から医師が固定できなくなり、昔のように医師を送れなくなった。大学でも中堅医師が疲弊している」と厳しい前提を示した。
村上知行・湖東記念病院長は「行政の一部には危機感が足りないが、東近江に残っている医師が団結すれば大丈夫。中核病院を作るべきで、(二つの市立病院と国立滋賀病院は)統一するしかない」と提案。発言を求められた西沢久夫市長は「中核病院を作るとすれば、国立病院にも足を踏み入れないとできない」とし、国立滋賀病院との連携を視野に入れていることを示唆した。【斎藤和夫】
毎日新聞 2009年7月28日 地方版