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【外信コラム】ポトマック通信 ERの真実

2009.7.28 03:13

 ワシントン支局の助手が、勤務中に階段から転げ落ちた。居合わせなかったのだが、額の出血がひどく手首も痛むという。市内の大学病院で手当を受けていると聞いて、外出先から「ER」こと救命救急室に駆けつけた。

 30年近く前、胸に凶弾を受けたレーガン大統領が搬送されたほどの大病院だ。患者の扱いに如才はなかろうと安心してドアを開くと、助手は額に止血のガーゼ、手首に冷却剤のパックを当てただけで、治療の順番を待っていた。

 結論を先に書くと、助手が傷の9針縫合と手首の骨折処置を終えたのは、病院に駆け込んでから7時間あまり経った夜の8時半だった。診断や外科治療に手間のかかる怪我ではない。時間の大方は、ただ「待つ」ことだけに費やされた。

 一刻を争う急患の治療が優先されるのは、救急部門の常だ。軽い怪我人の後回しはよいとしよう。明らかに高熱を発している人まで、グタリとイスにもたれて長時間待たされていた。患者は時間を追って増え、夕方には満室だった。

 救急部門がこれほど繁盛するのは、家庭医が予約制で急な発病には融通の利かない米国の医療事情による。医療保険のない人が、症状が重くなって転がり込むケースもある。連続ドラマのタイトルにもなった「ER」だが、その日常は感動や興奮と縁のない重苦しさに満ちていた。(山本秀也)

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