’09都議選

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

民主、追い風に乗り/自民、衝撃の大敗(その2止) /東京

 ■千代田

 ◇栗下さん、内田さん7選阻む

 定数1を3人で争った千代田区では、告示9日前に立候補表明した民主新人の栗下善行さん(26)が、自民の重鎮で都連幹事長の内田茂さん(70)の7選を阻み、初当選した。

 栗下さんはIT企業社員だったが、「区内は自民の力が強過ぎ、監視が機能していない」との思いから、海江田万里前衆院議員に出馬を直訴し、出馬にこぎつけた。準備不足のハンディはあったが、民主への追い風を生かし、新築マンション入居者ら「新住民」の支持を増やした。

 内田さんは連日閣僚の応援を受け、「26歳の青年は政治の勉強をしていない。なめられた」と“栗下批判”も展開したが、「世代交代を求める風が保守層でも広がっている」(内田陣営関係者)状況で、栗下さんが従来の自民支持層にも浸透した。【森禎行】

 ■八王子

 ◇石森さん滑り込む

 八王子市では追い風に乗って今回初めて、民主が2議席を獲得した。自民は現職2人のうち、石森孝志さん(51)のみの当選となり、国政における自民批判が波及する形で、終始苦戦を強いられた。

 当選した民主新人の滝沢景一さん(43)と現職の相川博さん(60)は、「都議会から政権交代を」と訴える鳩山由紀夫代表ら党幹部の応援を受け、無党派層へ急速に浸透。自民支持層にも食い込むなど、幅広い支持を得た。

 一方、自民は市議らを通じて支持基盤を固め、党幹部も連日選挙区入りし支援してきたが、党勢の衰退を印象付ける結果となった。

 こうした自民・民主の戦いの中で、2期8年の実績をアピールした公明・東村邦浩さん(47)と、都立小児病院の統廃合阻止を掲げた共産・清水秀子さん(57)は、固い支持基盤に票を上乗せし議席を守った。

 都議選の八王子市選挙区は、そのまま衆院24区と重なる。今回は次期衆院選に出馬予定の民主・阿久津幸彦前衆院議員、自民・萩生田光一衆院議員が自分の選挙のように連日、各候補の応援に入った。民主2議席獲得で、自民は選挙戦略の大幅見直しを迫られそうだ。【青木純】

 ■江戸川

 ◇田之上さん初当選

 定数5を7人で争った江戸川区で、民主新人の田之上郁子さん(39)が「政治は変えられる」「あきらめない人は負け組じゃない」などと訴えて初当選。次点に泣いた07年補選の雪辱を果たした。

 03年の区議選で6864票でトップ当選した田之上さんは、07年の都議補選で10万3000票余りを得票したが、わずかの差で敗れた。以来、毎朝のように駅頭に立ち、政策を訴えながら支援の輪を広げてきた。

 生活者ネットの推薦も得た今回選挙では、選挙期間中、トレードマークの紫色のシャツを着て自転車に乗り、精力的に区内を回って支援を訴えた。「新銀行東京に追加投資するお金があれば、高校進学をあきらめた子を学校に行かせてあげられる」などと都政批判を繰り返す一方で、住民とともに神社のみこしを担ぎ、親しみやすさもアピールした。【合田月美】

 ■北多摩2

 ◇山内さん初当選、「生活者ネット」の灯守る

 4新人が競り合った北多摩2(国分寺、国立市)。東京・生活者ネットワーク(生活者ネット)の新人、山内玲子さん(53)が、接戦を制して当選枠に滑り込んだ。この地は、生活者ネット初の都議が誕生した「発祥の地」。24年間、議席を守り続けてきた。自民、民主の対決に注目が集まった今回の都議選で「地域政党の灯」を辛うじて守った。

 逆風だった。過去、生活者ネットを支援してきた友党・民主が今回は初の独自候補を擁立。票を奪い合う展開を強いられた。

 一時は埋没しかけたが、国政選挙での支援打ち切りをちらつかせて民主を揺さぶり「公認候補並みの応援」という約束を取り付けて流れを変えた。菅直人代表代行が2度も応援に入り、民主色を前面に打ち出して自民新人を上回った。

 2大政党のはざまで、勝利をもぎ取った山内さん。「市民の目線で都政を変えます」と胸を張ったが、地域政党の看板だけでは有権者に浸透しきれない課題も残した。【山本将克】

 ■荒川

 ◇鈴木貫さん6選

 93年選挙以来、4回連続で公認候補全員当選を続けていた公明党は、今回、政権与党への逆風も感じる選挙戦となった。そんな中、荒川区(定数2)では、ベテランの現職、鈴木貫太郎さん(65)が議席を死守し、6選を果たした。

 公明にとって、2人区で唯一議席を持つ選挙区。鈴木さんと自民現職の崎山知尚さん(43)に、民主、共産、無所属の3新人が挑む構図となった。

 前回選挙では、2位に約9000票差をつけトップ当選した鈴木さん。だが、前回惜敗した民主新人の滝口学さん(38)に追い風が吹く戦いで、陣営には危機感も。

 党は最重点区に位置付け、太田昭宏代表や北側一雄幹事長ら党幹部が連日、応援遊説に入り、支援組織もフル回転。そんな中、5期の実績をアピールし、中小企業への融資や再就職支援の充実も訴え続けた。【山本太一】

毎日新聞 2009年7月13日 地方版

’09都議選 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド