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メタボ健診:受診率低迷 全国市区の7割「目標届かず」

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策として08年度に導入された特定健診・保健指導(メタボ健診)で、初年度の受診率が目標を下回った自治体が7割に上ることが、全国806市区を対象にした毎日新聞の調査で分かった。導入に伴う制度変更の影響が大きかった。任意で実施される5種類のがん検診のうち一つでも受診率が低下した自治体も9割に達した。メタボ対策に特化した健診に批判は強く、8割が見直しを求めた。

 調査は4~6月、783市と東京23区で実施し、579市区(71.8%)が回答した。

 メタボ健診は、07年度まで自治体が全住民を対象に実施していた基本健診と違い、国民健康保険や社会保険の医療保険者が加入者を対象に実施する。市区町村が運営する国保では、国が12年度に受診率65%の目標を設定。今回の調査で08年度の受診率は8.5~56.7%とさまざまだったが、自治体の69.4%はそれぞれ定めた目標より低かった。07年度の住民基本健診の受診率を下回る自治体も63.7%あった。

 受診率低迷の理由(複数回答)は「健診が保険者ごとの実施になり、従来と方法や場所が変わった」が60.1%で最多。「国や自治体の周知不足」が半数に上り、「(心電図や眼底検査など)健診項目の減少」が31.6%だった。

 国は5種類のがん検診(胃、肺、大腸、子宮、乳)を推奨している。だが、08年度の受診率が前年度より5種類中一つでも下がった自治体は88.8%に達し、早期発見に支障を来す恐れが出てきた。

 従来は住民基本健診、がん検診ともに各市区の健康増進担当課が窓口だった。

 だが、メタボ健診は国保担当課が窓口となり、通知や開催日がバラバラになる例も相次いでいる。56%の自治体は「特定健診と同時に受けられないから」を受診率低下の理由に挙げた。

 メタボ健診の今後については、「問題点を見直すべきだ」が79.6%、「制度を廃止すべきだ」も5%あり、「現在の制度のまま継続すべきだ」との自治体はわずか8.5%だった。【永山悦子】

 【ことば】▽メタボ健診▽ 腹部に内臓脂肪のたまったメタボリックシンドロームの人は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの心血管疾患を起こしやすいとの学説に基づき、原則として40~74歳を対象に08年度から始まった。一方、日本には、肥満ではない糖尿病や高血圧患者が多く、専門家からも健診効果に疑問の声が投げかけられている。

毎日新聞 2009年7月27日 2時30分(最終更新 7月27日 3時26分)

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