半年前のパレスチナ自治区ガザへの攻撃に加わったイスラエル兵士の証言を収めたとされるビデオが初めて公開されました。イスラエル軍が安全確保のため、ガザの市民を「盾」に利用したことなどが、兵士たちの口から語られています。
「私たちは武装勢力攻撃のために市民を盾に使った」(イスラエル兵とされる男性)
ガザ攻撃に参加したイスラエル兵士の証言とされるこのビデオ。パレスチナ人を人間の盾に使ったという証言のほか、ビデオでは無差別攻撃を思わせるこんな疑惑も語られています。
「イスラエル空軍では『疑わしきものは何でも撃っていい』とのゴーサインが出ていた。一般人、武装勢力、それに動物も何でもありでした」(イスラエル兵とされる男性)
ガザ攻撃から半年あまり。パレスチナ側からはこれまでもこうした疑惑は伝えられてきました。例えば、人間の盾についての疑惑。証言者はガザに多くいます。
「イスラエル兵は(安全確認のため)私の肩に銃をのせ、私を前に歩かせました」(ガザに住むパレスチナ人)
この疑惑を告発したのが、イスラエルの「沈黙を破る」(元イスラエル兵によるNGO)です。この団体、当時、攻撃に参加した兵士から証言を集め、この1冊の報告書をつくりました。
「26人の兵士から聴き取りをしました。半数が今も現役です。現場指揮官と大尉の2人の幹部もいます」(イスラエルのNGO『沈黙を破る』 ユダ・シャウル代表)
証言を集めた団体のトップ、シャウル氏は、自らも戦地を経験した元イスラエル兵。5年間、兵士からの聞き取り作業を続けている彼ですが、今回のガザ攻撃について、兵士たちは自ら進んで証言したと語ります。
「今回のガザ攻撃は、これまでとはまったく違いました。兵士は軍が『越えてはいけない一線』を越えていることを理解していました。だから彼らはすすんで証言したんです」(イスラエルのNGO『沈黙を破る』 ユダ・シャウル代表)
白リン弾の使用など、国際的に強い非難を浴びたガザ攻撃。
「自分たちは家に火をつけるよう命令された。その手段は白リン弾。家の屋根にめがけて投下した」(イスラエル兵とされる男性)
明るみに出たイスラエル兵の生の声。イスラエル軍はこれらの証言について、兵士が匿名で信用できないとコメントしていますが、イスラエル国内の著名知識人が連名で攻撃について再調査を求める声明を出すなど、証言は今、大きな波紋を広げています。(26日17:40)