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原爆詩人、平和願う86編 栗原貞子さん未発表作発見/広島女学院大広島への原爆投下直後の生命誕生を描いた詩「生ましめんかな」で知られる詩人・栗原貞子さん(2005年に92歳で死去)が、1960〜90年頃に作ったとみられる未発表の詩86編が見つかった。遺族から資料を寄贈された広島女学院大(広島市東区)が8日、発表した。栗原さんは反戦を強く訴える作品が有名だが、未発表作には静かに平和を願う詩も多く、関係者は「栗原さんの軌跡をたどるうえで貴重」としている。 同大学は昨年7月、栗原さんの長女、真理子さん(74)から直筆原稿や書籍を寄贈され、「栗原貞子記念平和文庫」を開設。あわせて、職員や詩人らが1年がかりで資料を整理する中で、ノートなどに未発表作を発見した。 栗原さんは「生ましめんかな」で、被爆の惨禍の中、ビルの地下で妊婦が産気づき、重傷の助産師が赤ちゃんを取り上げて絶命する光景を描いた。今回見つかった作品にも、ベトナム戦争などを題材に、激しい表現で反戦を訴えたものがあったが、一方で、抑えた筆致で広島の復興や平和の願いをつづった詩も。「失われた夏」(65年)は、被爆から20年後の広島で犠牲者を悼み、「あなたの生きたがった日々を みんなが生きて あなたを生かしたい あなたを生かしたい。」と書いた。 8月6日の慰霊の情景を描いた「こえ」(61年)では「生きのこった私らは あやまちをくりかえさせぬために 何を言えばよい あやまちをくりかえさせぬため 何をすればよい」と訴えている。 伊藤成彦・中央大名誉教授は「我々が知る栗原さんの世界を、さらに広げる作品が多く、極めて重要だ」と話している。広島女学院大は86編のうち41編と「生ましめんかな」などを小冊子にまとめ、1000部を発行。10日から希望者に無料で配布する。問い合わせは同大学(082・228・0392)へ。 (2009年7月9日 読売新聞)
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