水俣病をめぐり「詐病発言」をしたとされる環境省の原徳寿・環境保健部長が25日、熊本県水俣市で患者・被害者7団体と会い、「不快感や怒り、不安を与えたことをおわびします」と陳謝した。だが「発言自体は(国の)裁判上での主張」として撤回しなかったため団体側が反発。部長辞任を求めるなど混乱した。
7団体は国賠訴訟を起こしている水俣病不知火患者会や水俣病被害者互助会、認定患者団体のチッソ水俣病患者連盟など。原部長は「水俣病に『ニセ患者』がいるという趣旨の発言ではなく不本意。病気全体についての一般論だった」と釈明。団体側が「では、あなた自身はどうか。ニセ患者がいると思っているのか」と詰め寄ると、原部長は「分からない」と答えるにとどまった。
患者や被害者の怒りは収まらず、「発言が環境省の考え方なら(水俣病被害者)救済法の協議に応じることはできない」と今後の救済法説明会を拒否する声も出た。
会談後、原部長は「怒りを解いていただけるよう救済策を進めていきたい」と述べた。問題の発言は16、17両日の朝日新聞が掲載。「受診側の問題として昔から言われているのが、診察時に針で刺されてもわからないふりをする詐病」などと発言したとされる。
=2009/07/26付 西日本新聞朝刊=