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フィルム生産激減で遺跡発掘写真が大ピンチ (2/2ページ)
保存性
坂本龍馬や近藤勇といった幕末の英雄たちを撮影した写真は、色あせながらも現在に伝わっている。「(電子データではなく)写真なら150年以上保存できることは歴史が証明している」と井上さんは強調する。
一方、デジタルカメラの画質はフィルムとほとんど変わらないものの、画像データを保存するCDやDVDは割れるなどすると再生は不可能になる。さらに、デジタル技術の進歩がかえって保存の壁になっている。
5〜10年前まで使われていたフロッピーディスクやMOディスクはすでに「時代遅れ」となり、最新のデジタル機器に付属しておらず画像の読み込みは困難。井上さんは「デジタルは万能に見えても、数十年後に画像を再現できる保証はない」と話す。
包囲網
全国各地から出土した木簡などの赤外線撮影を行う奈良文化財研究所では、赤外線専用フィルムの生産が打ち切られたため、数年前からデジタルカメラに切り替えた。
飛鳥美人など国宝壁画の描かれた高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室解体や壁画調査にも、デジタルカメラを使用。フィルム交換時にカメラが接触して壁画損傷を招く危険があり、画像のコンピューター処理が必要なためだ。画像はCDなどではなく、データの破損を防ぐため2台のハードディスクで保存している。
文化財写真の保存問題に詳しい岩崎仁・京都工芸繊維大環境科学センター准教授(画像情報)は「発掘された遺跡は2度と元には戻らない。現状を正確に記録した写真は後世に伝える手だてとして不可欠。写真データの保存は緊急的課題」と話している。
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