2009年7月25日19時56分
環境省の原徳寿・環境保健部長が25日、熊本県水俣市を訪れ、朝日新聞の記事で「不知火海沿岸では体調不良をすぐ水俣病に結びつける傾向がある」などと語ったことについて、「にせ患者発言だ」と反発した七つの患者団体の関係者と面会した。「にせ患者発言とも取れたのであれば申し訳なく思っております」と陳謝したが、発言の撤回要求は「裁判で国が主張している内容もある」と拒否した。
原部長は24日、発言について斉藤環境相に厳重注意を受け、被害者側への説明のため水俣入りした。この日集まったのは、今月成立した未認定患者救済法に距離を置く団体で、「本心を話した記事だと思う。思い上がっている。こんな考えが根底にある限り救済法には応じられない」など冒頭から批判が相次いだ。
原部長は「不快感や不信感、不安感を与えおわびします」と頭を下げる一方、救済策について「大枠はできた。救済が順調に進むようするのが私の役割」と述べた。
だが、患者団体側は「『(すぐ水俣病と結びつける)不知火海沿岸では医学的に何が正しいか分からない』というなら公的診断を基にした認定制度も成り立たない」「にせ患者の意識をもつあなたと信頼関係は持てない。法の運用は託せない」と反発。
9月に長年被害者を診察してきた民間医師らが予定している千人規模の住民健診への参加と、「国や熊本県が持っている過去の毛髪水銀データ」の開示を求めたのに対し、原部長は「検討する」と答えるにとどめた。
また、原部長は会合後、記者団に「朝日の編集でああなったが(編集が適切なら)にせ患者発言と取られることはなかったと思う。私はシミュレーションという言葉を使ったのに、記者が『詐病を意味するのか』と尋ねたので、そうだと答えた(ら詐病と書かれた)」などと語った。ただし、実際には、朝日新聞のインタビューに対し、自ら「詐病」という表現を繰り返していた。