エルサレム(CNN) イスラエル教育省は22日、国内のアラブ人学校で使われている教科書から、イスラエル建国当時を「ナクバ」(大惨事)としている記述を削除すると発表した。教育当局者は声明で、イスラエル建国をそのように教える「理由がない」と語った。
1948年のイスラエル建国を受けた戦争で、パレスチナ人70万人余りが難民化した。アラブ人はこれを記念し、毎年「ナクバの日」の行事を開催している。ヘブライ語日刊紙によると、教科書は「アラブ人は戦争を『ナクバ』と呼び、ユダヤ人は『独立戦争』と呼んでいる」と述べている。
「ナクバ」の表現はイスラエルの前政権時代の2007年、アラブ人学校の3年生向け教科書に盛り込まれた。ただし現在の教育当局者は、この表現がイスラエルを非合法国家としているうえ、アラブ人社会で過激思想を助長していると主張した。
イスラエル国会(クネセト)のアラブ人議員、アハマド・ティビ氏は教育省の決定を非難。同議員はCNNに対し、「歴史を改ざんしてシオニストの歴史観を固めようとする試み」だと語った。
教育省関係者は、記述の削除がカリキュラムの見直しの一環だと説明。関係者によると、教育当局者はイスラエル国内のアラブ人の大半が、1948年の出来事を大惨事と認識しているとは見ていないという。