欧州・ロシア

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ベルギー:欧州の軍縮議論に拍車 「非核三原則」法制化で

 【ブリュッセル福島良典】ベルギーで欧州版「非核三原則」ともいえる核兵器禁止法制定を目指す動きが出たことで、独伊など米軍の戦術核兵器が配備されている欧州諸国でも撤去を求める軍縮世論に拍車がかかりそうだ。欧州戦術核の行方はオバマ米政権の国防・核戦略次第だが、北大西洋条約機構(NATO)が国際テロなどの新たな脅威に対応するため着手した戦略概念の見直し作業にも影響を与えるとみられる。

 ベルギーは対人地雷(95年)、クラスター爆弾(06年)、劣化ウラン弾(07年)を禁止する法律を世界に先駆けて制定、国際的に軍縮世論を喚起した。

 核兵器禁止法案を9月初旬にベルギー議会に提出するフィリップ・マウー上院議員(65)は「『核兵器はごめんだ』という動きをベルギーから国際社会に広げたい」と話す。

 禁止法制定の背景には「欧州の激戦場となったベルギーの過去」(マウー議員)がある。また軍縮推進を支持する世論があり、クラスター爆弾禁止の際と同様に、非政府組織(NGO)と政治家が連携し法案の準備を進めている。冷戦終結から20年を迎え、かつてのワルシャワ条約機構に対立するNATOの枠組みで欧州に配備されていた戦術核の有用性が薄れている現状も軍縮機運を後押ししている。

 71年には欧州に推定約7300発の米軍の核兵器があったが、ギリシャ、英国などから撤去され、現在はトルコ(推定50~90発)を含め推定150~240発に減った。

 99年に定められたNATOの新戦略概念は核抑止力の維持を確認する一方、欧州配備の米軍戦術核を「平和と安定を守るために必要な最小限の水準で維持する」としている。だが、NATO自身が戦術核の役割を「政治的」と認めており、米国の政策次第では、来年末までのNATO次期戦略概念の策定で、欧州配備戦術核の削減・撤去の選択肢が浮上する可能性もある。

毎日新聞 2009年7月19日 2時30分

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