「差別問題を県議会で取り上げてほしい」。2月、県議に一本の電話があった。立花町に採用された被差別部落出身の男性に、03年から計44通の差別的なはがきが役場などに郵送されていた。
県議は男性と面会。犯人への怒りや家族の不安を聞いた。そして、3月の議会で県警に徹底捜査を要請した。
3カ月後。容疑者として逮捕されたのは“被害者”の男性だった。会合で話をし、講演料まで手にしていた。44通すべての関与を認めており、県警は町に雇用を継続させることが目的だったとみている。
「ショックです」。逮捕の一報に肩を落とす県議。これまで部落差別問題を政治活動のテーマに夜間勉強会も開催してきた。やりきれない表情に問題の根深さがにじんだ。
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年7月22日 地方版