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黒い下敷き・サングラスでも危険 視力低下・失明も

2009年7月18日2時21分

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 「太陽を絶対に肉眼で見ないで」。22日に国内で観察できる日食に備え、眼科医や天文学者らが注意を呼びかけている。サングラスや黒い下敷きもよくない。安全に観察できる方法を聞いた。

 皆既日食が陸地で見られるのは46年ぶり。太陽が全部隠れない地域でも、福岡で90%、大阪で82%、東京で75%など欠ける割合は大きい。「それだけに今回は注目度が高い」と縣(あがた)秀彦・国立天文台准教授。太陽が欠けるのは22日午前中から正午過ぎ。「夏の太陽が照りつける時間帯で、夏休みで観察する子どもも多い。目を傷めやすい条件になっている」と心配する。

 日本眼科医会常任理事の宇津見義一さんは「太陽を直接見つづけると目がやけどする。重症になると元通りになりません」と注意を促す。まっすぐ見つめると赤外線が眼底にある黄斑という部分まで達する。神経細胞が集まる場所で、その中心(中心窩(か))がダメージを受けると、視力は極端に低下する。「視神経の細胞は一度死ぬと再生がとても難しいのです」と宇津見さん。

■専用具使い、休息入れて

 安全に日食を見るには、大きく分けて二つの方法がある。

 一つは、地面などに太陽の形を映し、間接的に見る方法だ。直径数ミリの穴を開けた紙に日光を当てる。すると、紙の影の中に、穴を通った光が太陽の像を結ぶ。ピンホールカメラの原理を生かした手段だ。鏡を使って太陽光を反射させ、十分離れた壁などに映す方法もある。

 空を見上げて観察したい人には専用のフィルターがある。カメラ店や眼鏡店で売られているが、各地で売り切れが続出。天文雑誌の付録でついていることもあるが、人数分を確保できなければ家族や友人間で交代で使うしかないようだ。黒い下敷きやスス付きガラスは、赤外線や紫外線を遮らないのでだめ。望遠鏡や双眼鏡とフィルターを組み合わせて見るのは厳禁だ。

 フィルター越しでも2〜3分ごとに目を休める。国立天文台は「日食の変化は比較的ゆっくりしており、ずっと見つめている必要はない。休みながら観察して」と助言する。天文台や科学館で開かれる観察会は観測機器もあるし、専門家の解説もあるが、定員に達して締め切っている所や、当日の入場制限も予想される。予め確認を。

 日本眼科医会は「間接法」をすすめ、フィルターを使う場合も使用法の厳守を呼びかける。「見つめないで」と注意する子ども向けのポスターをサイト上に掲載したほか、各都道府県の眼科医会を通じて学校現場にも注意喚起を始めた。(大村美香、長沢美津子)

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