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マネー・ドット・カム・カム:喜劇「女の平和」と、不況対策のなかの女性活用

 「女の平和」は紀元前411年に上演されたアリストパネス作のギリシャ喜劇の古典。アテネとスパルタの27年間に及ぶペロポネソス戦争の暗い時代に初演された。

 戦争ばかりしている男たちに反旗を翻して、全ギリシャの女たちがセックス・ストライキを敢行する。

 元参院議員でTVでおなじみの田嶋陽子さんが日本青年会議所のタウンミーティングに出席、会場の70%の人が「今の日本は男女平等が行き過ぎている」と考えていることにショックを受けた。男女平等をうたった憲法24条の項目を削る改憲案を見て、さらにショックを受けたとか。

 田嶋さんによると、今の少子化は「女の平和」と同じで、日本を含めた先進国の女性が子供を産まないという形でストライキをしているからだ。子供を産んだ日本女性の70%以上は、働いて自立するという基本的人権を行使できない。政治と行政の貧しさからだ、という。

 とくに日本は「ジェンダーギャップ指数(男女平等指数)」が世界経済フォーラム2008によると世界130カ国中98位で先進国中最下位。また、日本女性の学歴はOECD(経済協力開発機構)の中で第3位のレベルなのに、就業率は男性の93%に比べ、女性は67%しかない。

 田嶋さんは「日本は女性という資源のムダ使いをしている」とくやしがる。確かに国民の半分が希望をもてない国だから、不況も長期化し、閉塞感に満ちているのだろう。

 ◇保育所を増設せよ

 子供を持つ女性の就業の大きな障害となっている「保育所入所待機児童」は、調べてみたらほぼ2万人もいた。しかも増加している。女性の就業希望者320万人のうち、「家事、育児のため仕事を続けられそうにない」と答えた人は113万人。待機児童ゼロ作戦で予算は組まれているが、まだまだ足りない。増設のテンポも遅い。

 第一生命経済研究所の調べによると現在、保育所は2万3000カ所、利用児童数は202万人。待機児童や今後の増加を考えると16万人分、1777カ所の増設が必要。建設費や雇用などのGDP波及効果は5593億円と試算されている。不況対策で、政府はもっと本気で保育所の増設に力を入れるべきだ。

 私事で恐縮だが、昨年6月までトーク番組「今井澂の美女とヤジ馬」(テレビ埼玉、テレビ神奈川、千葉テレビ)に出演した。326回続いたが、主眼は女性経営者の紹介。応援してくださる方がいて高名な芸能人もゲストに迎えられた。森光子、池内淳子、佐久間良子……。みな、どの世界でも成功したと思われる立派な威張らない女性の方々だった。

 閑話休題。女性をもっと活用して元気の出る日本にしたい。

 「女の平和」のセリフから。女声合唱隊が歌う。「女の怒髪は天をつき、鷲の卵を狙うカブトムシになってやるぞ」。イソップ童話に、鷲にひどい目にあわされたカブトムシが鷲の卵を壊した話がある。賃金格差、待遇格差、このままでいいのか。【国際エコノミスト・今井澂】

2009年7月21日

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