野党競合選挙区(共産を除く)と対与党の勝敗解散時の衆院勢力各党の小選挙区の立候補予定者数
過去の総選挙でバラバラに戦っていた野党各党が、政権交代をめざし、結束を強めている。競合を避けるため、各党とも小選挙区での擁立数を減らして臨む。一方、前回の郵政選挙で約300議席を獲得した自民党は今回、連立して10年になる公明党との選挙協力が頼みの綱だ。
「政権交代」を旗印に掲げる民主党は今回、非自民党票の受け皿を一本化するため、共産党を除く他の野党との候補者調整を積極的に進めた。とくに社民、国民新両党とは郵政民営化見直しを政権公約に盛り込むことを条件に選挙協力で合意。この3党が全国規模で候補者のすみ分けを進め、お互いに他党候補への推薦を出すなどして結びつきを強めている。
実際、共産党以外の野党同士が競合する選挙区は、03年が41選挙区、05年には46選挙区あったが、今回は16選挙区に激減。このうち民主党と社民党との対決は、03年は41選挙区、05年は30選挙区だったが、今回は14選挙区にとどまる。民主党は12選挙区で社民党を推薦。民主、国民新両党がともに候補者を擁立するのは岡山2区だけだ。
この結果、社民党や国民新党の候補者数は前回より減る見込み。新党日本も前回より4人少ない2人で、公明党の冬柴鉄三元幹事長が立つ兵庫8区には田中康夫代表が立つ。民主党幹部も重点的に応援に入る予定だ。一方、北海道で民主党は、比例区で2人を擁立する新党大地に協力する代わりに、選挙区で大地からの支援を受ける。
共産党は03年に300人、05年に275人の公認候補を選挙区に立てたが、供託金の没収ラインに届かなかった選挙区が続出。今回は京都1区を唯一の必勝区に掲げる「少数精鋭主義」に転換した。これも野党共闘を組む3党にとっては追い風となりそうだ。
自民党は前回、公明党と合わせ、与党で衆院の3分の2の勢力を確保する大勝だった。郵政民営化法案に反対した自民党の前職に対し、当時の小泉首相は別の候補を党公認で立てて圧勝に結びつけた。しかし、今回はその後遺症が影を落としている。
郵政反対組で前回立候補した34人のうち、今回も立候補するのは27人。野田聖子氏ら11人は自民党に復党したが、残る16人は無所属のままか、民主党など他党から立候補して自民党候補と戦う。追い風を受けて当選した「小泉チルドレン」に比べ、「反対組」はベテランで強い地盤を持つ場合が多い。与党で過半数獲得を目標にする自民党にとっては、苦しい戦いを強いられる選挙区が多そうだ。
自民党は比例区の単独候補の名簿上位登載をできるだけ絞る考え。小選挙区と比例区に交互に立候補する「コスタリカ方式」も、前回の8選挙区から5選挙区に減らした。連立を組む公明党も政権への逆風で厳しい状況だ。前職が立つ8選挙区の当選が目標で、比例区と合わせ解散時の31議席の上積みをめざす。
そのほか、改革クラブが選挙区で前職1人を擁立。新たに国政に参戦する幸福実現党は全300小選挙区と比例区の全11ブロックに擁立する構えだ。(関根慎一)