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国旗・国歌訴訟:請求棄却 横浜地裁「思想の自由侵害せず」

 入学・卒業式で国旗に向かって起立し国歌を斉唱するよう命じた神奈川県教育委員会通知を巡り、県立学校教職員135人が県を相手に起立斉唱の義務がないことの確認を求めた訴訟で、横浜地裁は16日、請求を棄却した。争点だった通知の違憲性について吉田健司裁判長(転部のため深見敏正裁判長代読)は「思想・良心の自由を侵害するとは言えない」と指摘した。教職員側は控訴する。

 判決は、国歌ピアノ伴奏を拒否した音楽教諭への処分を「合憲」とした最高裁判決(07年2月)を踏襲。学校行事での起立斉唱は出席者にとって「通常、想定・期待される儀礼的行為」で、通知に基づき校長が出す起立斉唱の職務命令は「教職員の世界観・歴史観・信念を否定するとは言えない」と判断した。

 問題とされた通知(04年11月30日付)は、教育長名で各校長にあてた「国旗の掲揚及び国歌の斉唱の指導の徹底について」。教職員側は「起立斉唱は『敬意』という内心を表明する行為。それを命じるのは自由を不当に制約する」と主張したが、判決は「内心に影響を与え得ることは否定できないとしても、公務員として適法な職務命令に従う義務がある」などと退けた。会見した大川隆司・弁護団長は「国民の常識と正反対だ」と批判した。【杉埜水脈、木村健二】

毎日新聞 2009年7月17日 東京朝刊

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