核問題:米国、包括的パッケージ戦略に転換(下)
米国は国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いているとみられる。
米国はまだ包括的パッケージの具体的な内容までは決定していないとされる。韓国政府当局者は19日、「今のところは対話よりも制裁の局面なので、米国も大枠で方向を固めたにすぎず、パッケージにどんな内容が盛り込まれ、どのようにアプローチするかは関連国との協議が必要な状況だ」と指摘した。しかし、韓米間ではパッケージに対する共通認識づくりが既に行われたとみられる。韓米安全保障筋は「先月の韓米首脳会談以降、大統領府(青瓦台)の関係者と会ったところ、『李明博(イ・ミョンバク)大統領は北朝鮮の核問題のパッケージ交渉に関心がある』と話していた。米国からある種の提案があったようだ」と語った。
韓国政府の当局者は「包括的パッケージによる解決方法は、ヒル前6カ国協議首席代表に象徴される段階的アプローチに対する反省に基づくものだ」と述べた。すなわち包括的パッケージを通じ、交渉時間を短縮する一方で、「核廃棄」という核心に近づかなければならないというのが米政府の構想だとの説明だ。
ヒル前国務次官補などがまとめた2005年9月の6カ国協議共同声明は、目標を定めただけで、具体的な方式に関する合意を欠いたため、段階ごとに新たな履行合意が必要だった。このため、07年の2月、10月など新たなロードマップを作成するたびに北朝鮮の主張が変わり、新たな要求事項が示されるなど難航した。そうした合意も北朝鮮が核の無能力化に逆行したため、紙切れ同然となった状況だ。
米国で再び「完全で検証可能、かつ不可逆的な核廃棄(CVID)」という用語が力を得ているのもそうした背景があるためだ。ブッシュ前政権初期に北朝鮮の核問題における米国の原則とされたCVIDは一時、強硬なネオコンの専売特許のように思われ、6カ国協議の舞台からは消えたかに見えたが、現在の民主党政権でそうした原則の必要性がむしろ積極的に指摘されている。
もちろん包括的パッケージ構想が実現されるまでには越えるべき山も多い。これまでの段階的アプローチ方式は、北朝鮮に核放棄の意思がなくても、合意したふりをして、実利を得た上で、後でそれをほごにする「ゲーム」が可能だった。しかし、包括的方式では合意の撤回が不可能になるため、北朝鮮の核放棄が絶対的でなければならないが、北朝鮮がそうした決定を下すことは内外の条件からみて困難とみられる。外交筋は「金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康がどうなるか分からず、それに合わせ軍部の影響力が強まるほど、さらに困難な局面を迎えることも考えられる」と分析した。
任敏赫(イム・ミンヒョク)記者
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