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食のココロ

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まえに、お肉じゃないけど、ものすごくお肉っぽい唐揚げを食べたことがある。それは台湾料理での菜食スタイル「素食(スーシー)」の店だった。台湾では大豆で出来た「代用肉」が売っているらしい。でも日本では、なかなか入手出来ない。これ、手軽に真似出来ないものだろうか…?

代用肉の代わりになる、日本食材探し!

「素食(スーシ−)」はお寺のお坊さんから広まったものだそうだけれど、食いしんぼうの台湾の人々によって「おいしく」料理開発がされていて、なんと人口の10%の方々がベジタリアンなのだそう。多い。だから台湾では、素食が食べられる食堂も、そこらじゅうにあるんだとか。うらやましい。菜食中華、はっきり言って美味しかった。美味しくて手軽だからこそ、皆が続けられるんだろうなあ、と想像した。私が食べた、お麩っぽいもので出来た代用肉も、繊維がまるっきり鶏肉風で、注意されなかったら代用品だと分からないほどだった。

あれを、身近なもので再現出来ないかな? とフト思い、近所のスーパーでぶらぶらと歩きながら、棚を眺めてみた。

そうだ、お麩がらみのものは、どうだろう? 上手く使えないかな?こうや豆腐も元は大豆だし、いけそうな気がする。 

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そう思いついた。 お麩、車麩、こうや豆腐をゲット。 お麩は小麦粉から出来る、グルテン。 こうや豆腐は豆腐を凍らせたものだ。 代用肉は「乾燥大豆タンパク」で出来ているそうだから、成分は似ているはず。 これを、なんとかかんとかして、唐揚げてみよう。

まずはベース作り。 どうしたらいいのか、さっぱりわからない。うーん。 いきなりダシで戻したほうがいいのかな、と一瞬思ったが、やはり、まずやわらかくならないと話にならないなと思って、一度、水で戻すことにした。

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そのあと、慎重にゆっくり、手に力を入れて、きゅーっと水分をしぼってみた。

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こんぶだし(かつおだしだと、魚が入ってしまうのでアウト)、すりおろしたショウガ・ニンニク、醤油、酒を混ぜたものを用意。これは、普通の鶏からあげの味付けと一緒。

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これに、お麩&こうや豆腐を投入。

やさしくもんで、味をなじませる。

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そして、普通の唐揚げのように、片栗粉をつける。

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おお、これは車麩を4分の1にしたものだけれど、この時点でもう見かけが肉っぽい。 気のせいかもしれないが。

鶏肉と同じように、170度くらいの油で、こんがり揚げてみる。 別に内部に火が通らなくても食べられるけれども、まあ中があったかいほうがいいだろうし…。

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衣がキツネ色になったら、出来上がり。

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想像以上に美味しそうなルックスに仕上がった。せっかくなので、レモンも添えてみた。 さあ試食だ。

こうや豆腐

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これはこれでアリだと思う。しかしこれはやっぱり肉じゃない、やはり揚げ豆腐。 皮以外の部分は、食べると均等にぶわーっと噛み切れてしまう。 揚げる前に薄く切るとか、形状を変えたら、食感が変わるかもしれない。今後、研究の余地あり。

スタンダードなお麩

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丸形で弾力のある形に揚がってしまったので、肉というよりは肉以外の、何か別モノっぽい食感になってしまった。オモチを揚げたものに近いかもしれない。 じゅうぶん美味しいけど、肉っぽくはないかも。

車麩

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揚げる前から「お、これは」という感じだったが、大ビンゴ。 鶏の皮のところみたいな味がする。 車輪のようにスジが走っているので、食感も肉に似ている。ほどよい固さだ。 レモンをかけて食べてみたら、さらに肉っぽく感じた。 普通の鶏肉に混ぜても、ひょっとしたらバレないかも。


そんなわけで、日本食材の中では、車麩がカラアゲにはいい、ということが分かった。台湾の素食ほどではないけれど、かなりイケている。揚げ物だからそんなにローカロリーではないけれど、肉よりはヘルシーだし、こんなに簡単なら、気が向いたら、すぐに作れそうだ。

台湾では、完全な菜食の人以外でも、ダイエットやアレルギーのために菜食にしたり、月に2回だけ菜食にしたり、誕生日だけ菜食にしたりする人も、いるのだという。誕生日は「自分が生まれた日くらいは、殺生はしないようにしよう」という発想なんだそうだ。面白い。(ああ、台湾に行って、素食を食べ歩いてみたい。どんな味がするんだろう?)

しかし、肉って美味しい。美味しい、それは否定出来ないけど…、たまにはこんな、好奇心をキッカケにした、お肉ナシの日があっても、いいかもしれないな、と思う。健康にいいし。お麩はお肉よりも断然安いので、お財布にも、やさしいし。

ひょっとしたら、家族もだませちゃうかもしれない、このカラアゲを、皆様も気が向いたら作ってみてください。



大塚 幸代

大塚 幸代(おおつかゆきよ)
1972年埼玉生まれ。学生ライターを経て、1996年~2001年まで雑誌『クイック・ジャパン』編集部に在籍、現在フリー。ネット、雑誌を中心に活動。『「ライ麦畑」の正しい読み方』(飛鳥新社刊、共著)発売中。
> 個人サイト 日々の凧あげ通信


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