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海自インド洋給油:継続 民主、現実路線に 社民と溝拡大も

 07年参院選で民主党が大勝して以来「ねじれ国会」の焦点となっていた海上自衛隊によるインド洋での給油活動を巡り、同党は活動の継続を当面容認する現実路線を選択した。11月にも予想されるオバマ米大統領の初来日を控え、同党が政権を獲得した場合に対米関係で困難に直面することを避けたい配慮が働いた。【上野央絵】

 「給油活動に反対した理由には、油をイラク戦争に流用したのでは、との疑惑もあった。だが政権にいないと情報はない。実態を把握した上で、活動の根拠となる特措法が期限切れとなる来年1月まで協議するということだ」。ある政調幹部は、給油継続を容認した背景をこう説明した。

 政権獲得後、民主党は、自公政権が支持を失う原因となった経済対策などの内政問題に焦点を当て、「生活者重視」の政策を打ち出すことに主眼を置く。これに対して与党側は、民主党の外交安保政策を「まとまりがない」などと攻撃材料にしている。

 対米関係で民主党が現実路線にかじを切った背景には、外交安保政策で与党側に反撃の口実を与えたくないとの狙いもある。党幹部は「日米関係で混乱したら、元も子もなくなることはみな分かっている」と解説する。

 民主党はこれまで、日米同盟のあり方を巡り、現在の自公政権を「米国の言いなり」と批判。「より対等なパートナーシップを目指す」と訴えてきた。だが、次期衆院選の選挙公約(マニフェスト)では、給油反対だけでなく、在日米軍基地の位置付けや日米地位協定、駐留米軍経費負担(思いやり予算)の見直しでも、これまでの主張から後退することが判明している。同党が訴える「対等な日米同盟」が具体的に何を意味するのかが問われることになる。

 参院で野党の過半数を維持するため民主党が協力関係を重視している社民党からの反発も予想される。社民党は16日発表した衆院選マニフェスト概要で、インド洋での海自による給油活動について「即時撤退」を求めた。両党の外交安保政策での隔たりが、また拡大することにもつながりかねない状況だ。

毎日新聞 2009年7月17日 東京朝刊

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