家宅捜索で機械や書類を押収する捜査員=9日午前8時54分、由布市挾間町
由布市内のスーパーの鮮魚コーナーで販売されたマフグの卵巣を食べた男性二人が食中毒になった問題で、販売した魚介類販売業「甲斐水産」(甲斐七夫代表)が、県条例で義務付けられたフグ処理施設の届け出をしていないのに、二〇〇一年の出店時からフグを販売し、フグ調理資格を持たない従業員が一年ほど前からさばいていたことが、県の調査で分かった。
同店は、卵巣を販売した六日に、誤って販売したことに気付いたが、保健所へは七日午後まで通報しなかったことも判明。県は八日に甲斐水産を立ち入り調査。十四日まで一週間の営業停止処分にした。県警も九日、食品衛生法違反容疑で店舗など二カ所を家宅捜索。なぜ、卵巣が店頭に並んだか、経緯を詳しく調べる。
食品衛生法では猛毒を含むフグの肝臓と卵巣は販売できない。県食品安全・衛生課によると、同店は「県食の安全・安心推進条例」で義務付けられたフグ処理施設の届け出を行わず、フグ処理登録者以外の従業員がフグを調理、販売していた。
甲斐代表は店で唯一のフグ処理登録者だったが、卵巣の販売時は店に不在。電話で「フグの身と白子以外は廃棄するように」と指示していたが、従業員は「卵巣は販売できる」と勘違いしたという。客に対しても従業員は「ボイルしたらおいしい」などと説明していたらしい。県は「卵巣を販売すること自体論外」とし、通報が遅れたことについても「早い段階で連絡があれば中毒被害は防げたかもしれない」としている。
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スーパー内の甲斐水産の店舗には九日午前七時すぎ、県警生活環境課と大分南署の捜査員九人が捜索に入った。捜索は約二時間かけて行われ、仕入れ伝票や、商品名のラベルを張り付ける機械など、甲斐代表の自宅での捜索と合わせ、約五十点を押収した。
緊張した面持ちで捜索を見守ったスーパーの男性店長は「(捜索が入るとは)知らなかったので、気が動転している。食中毒になった方を含め、お客さまには迷惑をお掛けし、大変申し訳ない。テナントとの連絡を密にするなど再発防止に努めたい」と話した。
県警は食品衛生法違反などでの立件を視野に、押収資料を分析するとともに、甲斐代表らから事情を聴いて実態解明を進める。
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