テヘラン(CNN) 国営のイラン学生通信は16日、同国の核開発計画の責任者であるレザ・アガザデ副大統領兼原子力庁長官が両職務を辞任した、と発表した。同長官によると、20日前に辞表を提出、アフマディネジャド大統領が受理したとしている。
退任の理由は不明。今年6月12日に実施された大統領選で再選を決めたアフマディネジャド氏による内閣改造作業に関連しているのかも明らかでない。アガザデ氏の後継人事も伝えられていない。同氏は改革派のハタミ前政権時代の1997年、副大統領などに任命されている。最高指導者ハメネイ師の信頼が厚い人物とされる。
大統領選では、不正疑惑があったとする改革派の抗議集会が弾圧され、死傷者も出ている。一連の騒乱で、保守、改革両派の間の対立が先鋭化すると共に、アフマディネジャド大統領の政策をめぐり保守派内でのせめぎ合いも指摘されている。アガザデ氏は大統領選後の混乱では距離を置く姿勢に終始し、立場を鮮明にする発言もなかった。
イランは自国の核開発計画で欧米と厳しく対立。国連安保理決議を無視する形でウラン濃縮などを続けているが、アガザデ長官はこの計画の陣頭指揮を執っていた。長官は同国の「核技術の日」とされる今年の4月9日、ウラン濃縮に関連し、中部ナタンズの施設にある遠心分離器の数が「7000基に達した」とも発表していた。
米国などはイランの核開発の軍事転用を警戒、イランは平和利用を主張している。国際原子力機関(IAEA)は同国の核開発での不透明性を指摘、完全な申告を要求している。