ロシア南部のチェチェン共和国で１５日、人権擁護団体の女性活動家が拉致され、隣のイングーシ共和国で遺体で発見されました。

　遺体で発見されたのは、チェチェン共和国を中心に活動を続けていた人権擁護団体の活動家、ナタリヤ・エステミロワさんです。

　エステミロワさんは１５日朝、何者かによって車に押し込められて連れ去られました。その後、隣のイングーシ共和国で遺体で発見されましたが、頭などには銃撃されたあとがあったということです。

　エステミロワさんの関係者は「事件は殺人」としたうえで、彼女の人権擁護活動が今回の事件と関係しているのではないかと話しています。エステミロワさんはチェチェンで活動し、ロシア軍がグロズヌイに進攻した第２次チェチェン紛争の際の地元住民に対する人権侵害などを告発したことで知られていました。

　事件について、ロシアのメドベージェフ大統領は、徹底的な解明を捜査当局に命じています。チェチェンに隣接するイングーシ共和国では、６月下旬に共和国大統領の車列が自爆テロにあうなど治安が悪化していますが、連邦政府によるテロ防止のための軍事行動が続く一方で、テロ事件の真相解明は一向に進んでいません。（16日06:50）