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【2009都議選】

自公過半数割れ 都議会、民主が第一党 『麻生降ろし』強まる

2009年7月13日

(右)笑顔を見せる民主党都連の菅直人会長=12日午後10時51分、東京・永田町の党本部で(左)渋い表情の自民党都連の石原伸晃会長=同49分、同町の党本部で

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 東京都議会議員選挙(定数一二七、四十二選挙区)は十二日、投開票が行われた。民主は現有に二十を上乗せして五十四議席を獲得、初の第一党となった。知事与党の自民・公明は、過半数を割り込んだ。石原慎太郎知事は野党多数の議会を前に、厳しい都政運営となる。自民党内では、麻生太郎首相の自発的退陣を求める声が噴出。首相は退陣するか、自らの手で衆院解散に踏み切るか、ぎりぎりの決断を迫られる。

 都議会で自民が第二党に陥落したのは、一九六五年、都議会議長選をめぐる贈収賄事件をきっかけに解散した「黒い霧解散」後の出直し都議選で、当時の社会党が四十五議席を獲得して第一党となって以来、四十四年ぶり。

 投票率は54・49%。過去二番目に低かった前回二〇〇五年の43・99%を10・50ポイント上回った。

 民主は五十八人を公認。複数擁立区を前回の十一から十三に増やすなどの積極策が奏功し、無党派層のほか自民支持層も取り込み、世田谷で三議席を獲得するなど、各地で複数当選を果たした。

 一人区では武蔵野、小金井の現職に加え、千代田、中央、青梅で新人が当選。昭島では推薦候補が勝利。全七区のうち六区を制した。

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 自民は五十八人を擁立。勝敗ラインを「自公で過半数維持」とハードルを低くし、手堅い戦いで臨んだが、党都連幹事長ら、大物現職が次々に落選。多摩地区など、保守層が強いとされる地域でも議席を奪われた。

 公明は前回と同数の二十三人を擁立、五回連続の全員当選を果たした。

 共産と、地域政党の東京・生活者ネットワークは、現有議席を減らした。

 無所属は、非自公の二人が当選した。

◆石原都政に『不信任』 築地移転など懸案厳しく

<解説> 次期衆院選を控え、国政の対決構図がそのまま持ち込まれた東京都議選は、「東京から政権交代」を掲げた民主党が、議会勢力図を大きく塗り替える大勝を呼び込んだ。石原慎太郎知事を支える与党の自民、公明の過半数割れを起こした地殻変動は、石原都政に厳しい審判を下したことにもなる。

 民主は選挙戦で、二つの「NO」を突きつけ、知事与党との対立軸を明示した。石原都政の「アキレス腱(けん)」とされる新銀行東京の再建支援、築地市場のガス工場跡地への移転問題だ。

 民主を中心に過半数を占めた野党は、新銀行の早期撤退を促し、築地移転問題では、現在地での再整備を求める姿勢で一致している。

 石原都政の行方を占う懸案は、見直しを含めた厳しい局面を強いられる情勢になる。

 中でも、与野党対決を象徴する定数一の選挙区で、オセロのように自民から民主に議席が次々と入れ替わった。

 国と対峙(たいじ)する姿勢を示しながら、強力な発信力で求心力を高めた石原知事だが、安定的な後ろ盾を失った少数与党の中では、そのフリーハンドさえ封じられかねないとの懸念がある。

 今期限りの引退を表明している石原知事の任期は、残り約二年。石原知事が全精力を傾注する五輪招致は、今年十月に開催都市が最終決定する。その結果次第で、石原知事の進退にも波及しかねず、「ポスト石原」を見据えた動きも加速しそうだ。 (社会部・石川修巳)

 

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