【ウルムチ(中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区)鈴木玲子】中国新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した大規模暴動から12日で1週間が過ぎた。厳戒態勢が続く中、ウルムチ郊外の石油精製工場で爆発が起き、緊張感に拍車をかけた。
新華社通信によると、ウルムチ東北郊にある国有石油大手「中国石油天然ガス(CNPC)」子会社「ウルムチ石化」の石油精製工場で12日午前9時50分ごろ、軽油タンクが爆発し約40分後に鎮火した。死傷者はなかった。同社は「爆発ではなく火災だ。原因は調査中だが、破壊工作ではない」とテロなどの可能性を否定している。
市内では一部の商店が再開するなど徐々に日常生活を回復しつつある。だが、新疆観光の拠点であるにもかかわらず、街に観光客の姿は見られない。新疆ツアーは7~9月が繁忙期。貴重な稼ぎ時と暴動が重なり、観光業は大打撃を受けた。
「もう、今年はダメだ」
ロシアや中央アジアからの観光客を扱う新疆辺疆旅行社の程江平さん(28)はため息をついた。同社では繁忙期に約3000人を扱うが、ほとんどキャンセルされたという。海外の旅行会社に状況を説明しようにも暴動後、ウルムチからは国際電話がかけられず、インターネットも切断状態が続く。「状況を伝える手段がなく、一方的にキャンセルされてしまう」と嘆く。
自治区当局によると、既にツアー1410件、計8万4940人が観光をキャンセルした。このうち外国人は4396人に上る。また、5日夜の暴動で観光客9人が負傷し、観光バス20台以上が破壊された。当局は「観光業は重大な損失を被った」と指摘した。
一方、ウルムチ市公安局は11日、違法な集会やデモを禁止するとの通知を出した。
毎日新聞 2009年7月13日 東京朝刊