2009年7月12日3時5分
【ウルムチ=奥寺淳、西村大輔】中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市内で起きた大規模な騒乱から12日で1週間になる。当局の発表だけでは事実関係はわからない。何が現場で起きていたのか。騒ぎが拡大した経緯を、目撃証言からたどった。
ウイグル族のデモは北京時間の5日午後6時ごろ、市中心部の人民広場近くで始まった。非公式の現地時間で午後4時ごろにあたる。同日昼、「合法的に政府に抗議しよう」という携帯メールが出回っていた。「平和的だった」とウイグル族は口をそろえ、漢族の飲食店員(31)も「暴力をふるう様子はなかった」と証言する。
だが警官らが立ちはだかり、一部が衝突。多くは大通りの解放南路を南下し、付近のウイグル族が次々と合流。規模が膨らみ、制御がきかなくなっていった。
衣料品店員(27)は午後8時ごろ、解放南路でデモ隊と出くわした。すでにれんがや棒を持っていた。ほかの市民とともに隊列に加わり、「自由が欲しい」「ウイグル族よ団結しろ」と叫んだ。デモ隊は治安部隊に前後を囲まれ、石を投げて抵抗した。
前方の治安部隊が空に向かって警告射撃を始め、その後、水平に撃ち始めた。タタタタと銃声がし、50人ぐらいが倒れた。下半身を狙っているように見えた。銃弾が脇腹に命中し、苦しむ女性がいた。「帰れ、解散しろ、早く行け」と治安部隊が叫ぶ。
ウイグル族のある男子高校生は、解放南路の交差点で三方から治安部隊がデモ隊を囲み、発砲するのを見た。路地や団地の中庭などに逃げ込むデモ参加者を治安部隊は発砲しながら追い、拘束した。