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クローズアップぐんま:医療モール併設マンション、医療機関入居見通し立たず /群馬

 ◇医療モール併設マンション居住開始4カ月

 ◇市が事業選定、補助金も投入 「景気悪化が要因」と業者--前橋市中心部

 前橋市本町の旧消防本部跡地に今春オープンした医療モール併設型分譲マンション。同跡地は市が医療モール併設を条件に05年、民間企業に売却したが、住居部分の入居開始から約4カ月が過ぎても医療機関が入る見通しはたっていない。市は、自ら事業選定して跡地を売却したほか、国と県を合わせ約3億円を補助しており「企業努力で何とかしてもらうしかない」とやきもきしながら見守っている。【杉山順平】

 マンションは今年2月、地上14階建てのうち1、2階が医療モール、3階以上が住宅(60戸)として完成した。建設したのは業界大手「穴吹工務店」(高松市)と大手ゼネコン「大林組」(東京都港区)。穴吹工務店広報室によると「市場調査の結果、周辺に分譲マンションが多く、医療モールの利用が期待できると考えた」という。現在、住宅部分36戸が入居済みだが、2~7医療機関と1薬局が入る予定だった医療モールの入居は決まっていない。

 同社は医療機関入居の遅れについて「昨秋からの経済環境悪化が要因」と分析。「正式に決まっていないが、ある業者と具体的に話を進めている」と語る。

 市によると、05年9月、市有地としては初となる提案競技型(コンペ)で、跡地の売却先として最終的に残った提案は、穴吹工務店と大林組が共同提案した「医療モール併設分譲住宅」と、別の企業の「貸しフロア付きの自社ビル」の2件。大学教授らで組織した委員会による審査の結果、分譲マンションの方が定住人口が増え、中心市街地の活性化につながるなどとして、医療モールが選ばれた。

 市は06年10月、跡地と、隣接する市有地計約2300平方メートルを約2億9500万円で売却。市まちづくり課によると、マンションの整備事業に対して、国、県、市が06~08年度に計約3億円の補助金を支出、このうち市は約3分の1の約1億円を負担した。

 同課は「補助金は中心市街地に人口を定着させる建物に対し、企業からの申請で出すもの。医療モールとは関係ない」と説明。市管財課は「企業側からは医療機関の入居に向け、現在、具体的な交渉をしていると聞いている」とし「市としては企業努力にお願いするしかない。提案通りやってもらうよう見守っている」としている。

 ◇医療密集地に疑問

 市が事業選定して建設が決まった「医療モール併設型分譲マンション」に対して、地元医師の思いは複雑だ。前橋市医師会の石田稔会長は「計画が決まった当時、医師会で医療モールの是非についてアンケートしたら、ほとんどが反対だった」と語る。

 同医師会によると、同市本町や千代田町など中心市街地にある医師の診療所数は約40軒。また、市役所を中心に半径2キロあまりの圏内に▽前橋赤十字病院(同市朝日町)▽群馬中央総合病院(同市紅雲町)▽群馬大医学部付属病院(同市昭和町)--など大規模病院がひしめき合う。

 石田会長は「地元の医療機関が密集している場所に市が補助金を出してまで、医療モールをつくる必要があるのか」と市の事業選定に疑問を呈す。

 一方、事業選定に携わった委員会の元メンバーは「審査当時、前橋市の『生命都市構想』が議論されていた。そういう背景もあり、委員会で医療モールが支持された」と話している。

 ◇違約金発生も

 前橋市と穴吹工務店の契約では、同社が医療モールを放棄した場合、市有地の売却価格(約2億9500万円)の2割を市に違約金として支払うこととなっている。

 この点について、同社は「医療モール以外のものをつくることは考えていない」と回答。市財務部は「契約上、いつまでに医療モールができなければならないという期限の取り決めはない。企業側も医療機関と話し合いをしているところで、市としても形になっていくことを期待している」という。

毎日新聞 2009年7月11日 地方版

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