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【社会】

ゆうちょ銀詐欺、本物の国債申込書悪用 顧客を信用させる

2009年6月27日 朝刊

 ゆうちょ銀行千種店(名古屋市千種区)の元行員による詐欺事件で、逮捕された元行員宮崎教夫容疑者(55)=同市中区=が、顧客に国債購入に絡む架空の金融商品を持ちかける際、本物の国債の申込書に記入させ信用させていた疑いがあることが、愛知県警捜査二課と千種署への取材で分かった。

 逮捕容疑によると宮崎容疑者は昨年7月、千種区の無職女性(75)方を訪問。高い利息が得られるとして国債購入の準備金を運用する架空の商品を勧め、約570万円をだまし取ったとされる。

 捜査関係者によると、宮崎容疑者はあらかじめ国債の本物の申込書を入手して持参。女性にも名前や住所を記入させ、写しを渡すなどして正規の申し込みを装って信用させていた。2カ月ごとに数千円の“利息”も手渡していた。

 宮崎容疑者は同店渉外部主任で、顧客を訪問して貯金の預け入れなどの受け付け業務を担当。実際には、国債を取り扱う資格はなかった。容疑を認めており「資金はパチンコなどに使った。多額の借金もあった」などと供述しているという。

 県警によると、宮崎容疑者は同様の手口で、高齢の女性ら8人から約1億2000万円を集め着服した疑いが持たれている。顧客の問い合わせを受けた銀行の内部調査で不正が発覚。銀行が今月中旬、県警に相談していた。

 ゆうちょ銀行は「信頼を損ない、深く反省している」とする談話を発表。同銀行広報部は「(宮崎容疑者が)お客さまを巧みにだましており社内で発覚が遅れた。内部調査後も公表しなかったのは捜査への影響を考慮したため」としている。

 

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