| 教え子たちからのメールにほほ笑む今村寛教諭=東武線鷲宮駅前 |
生徒が一人もいない教室で「模擬授業」をさせるなど、校長ら学校側のパワーハラスメントは事実上の退職要求だとして、学校法人昌平学園(近藤好紀理事長)を相手取り、さいたま地裁越谷支部に退職強要の禁止の仮処分を申し立てた杉戸町の私立昌平高校(小池仁校長)の今村寛教諭(49)の元に、生徒や卒業生たちから「先生負けるな」と応援メッセージが届いている。 申し立てと記者会見から一夜明けた19日、起床した今村教諭は携帯電話のメールを見て驚いた。卒業生たちからのメッセージがたくさん入っていたからだ。 「テレビと新聞見ました。先生がんばってください」「先生お久しぶりです。うちはいつでも先生の味方ですからね」 「応援してます。無理し過ぎないでがんばって」「いまちゃん、だいすきです」「先生ニュース見たよ。絶対負けないで」 かつて担任した卒業生たちだった。「みんな、懐かしい連中。体に気をつけてねなんて、女房みたいなことを言いやがって…。うれしいですね」と今村教諭。 この日も、今村教諭は午前10時55分からの3時限目が「模擬授業」だった。担当は国語。本館2階の職員室を出て5階の生物教室が今日の教室だった。廊下を歩いていた。女子生徒たちが「頑張って」「負けないでください」と声を掛けてくる。黙って握手を求める男子生徒もいた。 夕方、鷲宮町の自宅に帰った。保護者からの留守電が入っていた。「応援してます。負けないでください」。自宅の郵便箱には切手が張られていない手紙が届いていた。「先生、絶対大丈夫だよ」 夜と朝、これまでは読むだけだったメールに、一つ一つ、返事を書いた。
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