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マンスリー・レポート

熱血ストーリー!前田建設ファンタジー営業部の“ウラ話” 【第4回】“マジンガーZ効果”は、広告費換算で1億円以上。国際救助隊も発進!

2006/09/25

マンスリーレポートのコーナーでは、建設ITのキーパーソンに毎月、インタビューしていきます。9月は前田建設ファンタジー営業部の皆さんにご登場いただきます。ユニークなプロジェクトの検討過程をWEBで見せるという前代未聞の試みは、BtoCマーケティングとしても効果を上げ、海外にも影響が広がっています。社内的にはどんな効果があったのでしょうか。

前田建設工業
経営管理本部総合企画部経営企画グループ
 課長 岩坂照之氏(写真中央)
経営管理本部総合企画部経営企画グループ
 課長 上田康浩氏(写真左)
建築本部建築部技術支援グループ
 主任 東間敬造氏(写真右)

●前田建設ファンタジー営業部のホームページ
   http://www.maeda.co.jp/fantasy/



―――ファンタジー営業部の今後の展開はどうですか。

岩坂 そんな同業他社や企業からのメールがあったこともあって、第4弾は毛色を変えて、「ロボットを中心とした国際救助隊」を作る構想の連載を始めています。

IRSというレスキューロボットを作っているNPOと当社のほか、飛行機を飛ばすために全日空さん、救助するマシンは建設機械が適しているということでコマツさん、それから「救助隊は制服が大事」という考えでオンワード樫山さん、これに前田製作所というメンバーです。

仮にビル・ゲイツのような大金持ちがお金を出すということになったら、民間としてどんな救助隊ができるのかを考えています。ちょうど昨日、今月分の原稿を書き終えて、げっそりしているところです。(笑)

上田 今回は前作と違って"華"はありませんが、防災関係者など、新しい読者の方に見に来ていただいています。そういう方からの意見がメールで来るようになっています。



―――建設業としてのブランド形成と言うだけでなく、建設業としてのCSR(社会的責任)という領域に踏み込んでいるんじゃないですか。

上田 まさに、第4弾はその通りです。災害が起これば、まず建設会社がいの一番に現場に駆けつけなければならない部隊ですね。建設機械やトイレなどを用意したり。我々がやっている社会貢献的なことをアピールする場として考えています。

ただ、自分たちがやっていることだけをアピールするのではなく、社会的に認めてもらうという意識で作っていきたいということになりました。

岩坂 というわけで、図らずも第4弾は違った意味でのプレッシャーがあります。



―――ファンタジー営業部の活動で、会社にとってはどんなメリットがありましたか。

岩坂 私が一番、得しているような気がするんですよね。建設会社に勤めていて、救急隊の人たちとガチンコで話をすることができるのも、全日空のキレイなキャビンアテンダントさんと一時間お話できるのも、ファンタジー営業部をやっていてこそですから。

全日空の格納庫で、飛行機がジャッキアップされているのを目の前で見ながら、国際救助隊の構想を考えるとか。

―――国際救助隊に参加している各企業は実名で登場するのですか。

岩坂 はい、各社にインタビューしにいくという形で出ています。そこが、前作と違ってリアルなところですね。

これまでのファンタジー営業部のルールに則り、「今の技術で可能なもの」という条件でやっています。飛行機にしても、実際にあるものをベースに考えています。今あるボーイングの飛行機で、半分は旅客機、半分は貨物機というのができるはずだ、というように改造も想定しています。

「全日空さんの予備機で行きましょう」と言ったら、「そんなにすぐには飛べません」と答えるので、「じゃ、買いますか」といった具合です。いや〜、豪勢な話で、本当に面白いですよ。(笑)


現在連載中の第4弾「世界初、民間国際ロボット救助隊を創ろう編」では、救助隊が使用する飛行機の選定が行われている(画像:前田建設ファンタジー営業部のホームページより)



―――なるほど。

岩坂 こんな活動を通して、他の業界の人々と知り合いになれるのがすばらしいです。マジンガーZの版権を管理しているダイナミック企画さんの忘年会に呼ばれる建設会社って、他にはありませんよ。おもちゃメーカーなどばかりの中で「前田建設です」なんて言ったら、周りがザワザワしたりして。

スクエアエニックスやバンダイの人と話せたり、ポリフォニーデジタルさんといったゲームのCGを作っている会社に出入りしたり。

上田 全然違った異業種を知れるというのは、我々の活性化になりますね。

岩坂 東映アニメーションさんの受付に行くと、ドラゴンボールの看板しかないし。バンダイさんに行くとエレベータの声が「5階だヨ」とか、アニメキャラで話したりする。それをうけて社員の方が「となりのエレベータは仮面ライダーです」と、説明していただいたりとか。建設会社としてはこんなニーズもあるのかと、大変、勉強になります。



―――今回の異業種交流の中で、新しいビジネスが生まれそうな気配はありませんか。

岩坂 これからではないかと思います。今、ようやく各社がフランクに話せるようになりましたし、僕らの中でも企画やアイデアが出てきています。ぜひ、新ビジネスのチャンスが生まれるような方向に持っていきたいですね。

なにか仕掛けられるんじゃないかなという感じはありますね。思いつくのは、大きなコンセプトだったり、具体的な一商品だったりしますが。



―――前田建設の新しい収益事業になるかもしれませんね。

岩坂 だといいですね。

あと、事業と関係ないですが、マンガを使って何かを説明する方法というのを、学校の先生が評価してくれています。例えば、工業高校の先生が3次元CADを教えるのに、ありきたりの教材だとつまらないので、マンガに出てくるものを作るカリキュラムにしたいとか。

当社はもちろん、いいですが、著作権者に許可をもらってくださいよ、とは言ってますが。そんな動きが出てくるのもうれしかったですね。

これは教育の方法としてありだと思いますね。土木の仕事も、一般の生徒から見るとブラックボックスの面が多いですが、マンガに出てくる構造物を造るというテーマなら、興味をもってくれると思います。

あと、自動車レースのF1で、最近、「マスダンパー」の使用が禁止になったそうです。ある自動車マニアのブログで「私がマスダンパーを語れるのは、前田建設のホームページの説明を読んだからだ」というように説明していました。へぇー、こんな広がりもあるのかと感動しました。



―――ほかにインターネットならではのエピソードはありますか。

上田 韓国では「テッコンV」というマジンガーZの韓国版のような人気マンガがあります。このロボットそのものを作るプロジェクトを、科学雑誌で半年くらい連載しています。

我々にもインタビューをしにきてくださいましたよ。


―――ファンタジー営業部の広告効果としては、金額に換算するとどれくらいになるのでしょうか。

岩坂 最近はカウントしていないのでわからないのですが、始めてから1年で、計算すると1億円は軽く越えますね。それに対してかかった費用は、我々の給料を入れなければ100万円にもなりません。抜群の費用対効果を発揮しました。

やはり、このプロジェクトが成功したのは、人との出会いが大きかったです。あまり詳しいことは言えないですが、マジンガーZの原作者である漫画家の永井豪先生が、意気投合して、普通では考えられないような条件でキャラクターの使用をOKしてくれたり、アニメに関係する会社が協力してくれたりしましたから。




(終わり。次回は10月2日に掲載予定です)


●前田建設ファンタジー営業部関連の記事へのリンク

熱血ストーリー!前田建設ファンタジー営業部の“ウラ話”
【第1回】マジンガーZプロジェクトが生まれたきっかけとは (2006年09月04日)

【第2回】「ああ、鉄筋が!」銀河鉄道999の高架橋はRC構造だった (2006年09月11日)
【第3回】締めて72億円也。マジンガーZ格納庫の見積書発表でブレーク! (2006年09月19日)
【第4回】“マジンガーZ効果”は、広告費換算で1億円以上。国際救助隊も発進!(2006年09月25日)

家入 龍太

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