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ウイグル族従業員を集団移転 騒乱発端の広東省玩具工場(1/2ページ)

2009年7月9日10時31分

地図:広東省と新疆ウイグル自治区広東省と新疆ウイグル自治区

 【広州=小林哲】中国・広東省韶関(しょうかん)市の玩具工場で6月下旬に起きた漢族とウイグル族の乱闘騒ぎを受け、市当局がウイグル族従業員約800人を別の工場に集団移転させていたことがわかった。この乱闘が新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチの騒乱のきっかけになったとされる。漢族と引き離し、再び事件を起こさせないための措置とみられる。

 市政府によると、ウイグル族従業員には標準語(北京語)をうまく話せない人が多く、漢族の管理者と意思疎通できずに対立が深まっていた。事件後、ウイグル族全員を市中心部の施設に移し、7日から生産を再開。管理者も、新たに連れてきたウイグル族に任せたという。

 中国中央テレビや現地紙は、仕事を再開したウイグル族従業員の様子を一斉に伝えたが、漢族から隔離されたことは報じていない。

 事件は6月26日未明、市郊外にある香港系玩具メーカー「韶関旭日国際有限公司」の工場で起きた。現地紙によると、漢族の女性がウイグル族の男性に襲われたとのうわさが工場で広まり、両民族の乱闘事件に発展。国営新華社通信によるとウイグル族の2人が死亡、100人以上がけがをした。

 警察はウイグル族3人を含む13人を拘束。さらに「工場で6人のウイグル族が少女2人を強姦(ごうかん)した」などとネット上にうその書き込みをしたとして、元従業員ら2人を拘束した。

 ウイグル族が工場で働き始めた今春以降、漢族の女性が襲われる事件が相次いでいるとのうわさが現地で広まっていたといい、近くの工場責任者の日本人男性は「漢族の女性職員から『夜1人で帰るのが怖いので残業を1時間減らしてほしい』と懇願された。ウイグル族に『気が荒くて怖い』というイメージを持っており、対立は根深いと感じた」と話す。

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